二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

ポケモン二次創作  【虹色の天空】アンケート中です。 ( No.162 )
日時: 2011/01/11 22:42
名前: 豆電球 ◆Y6CWE4r6bA (ID: sp0cIx.0)

第三十九章 〜覚悟は出来たか?〜

ティア「——そして、私はパルパークに送られ、ギンガさん達と出会ったのです。」
壮大な話をありがとう、ラティアスさん。
ギンガ「やっぱり。クソ親父の影響か・・・」
サトル「ギンガ・・・」
エンジュ「?ね〜,Rって、もしかして・・・」
サンダー「ああ。金の光の事であろうな、おそらくだが。」
ギンガ「リオンの事を、Rなどと・・・」
サトル「きちんとした名前で呼ばないなんて・・・おい、お前の親父どうかしてんのか?」
ギンガ「知るか。ま、呼び易いからだろ。コードネームで呼ぶ事が。」
エンジュ「でも、お名前ってたいせつよね。ポケモンのニックネームも、すっごくだいじだよ。」
サトル「・・・そうだな。名前は、その生き物の存在意義だもんな。」
ティア「私も、エンジュさんに名を頂いた時、幸せでしたから。」
サンダー「・・・で、お前達。覚悟は出来ているのか?」
一同「?」
サンダー「ミュウ様の遺伝子を使用し、生まれた生き物は・・・自然に生まれたわけじゃない。人工の生き物だ。それにサカキの事だ、名も与えていないだろう。それでも、最強の力を持つ、そんな生き物と戦うのだぞ。」
ギンガ「・・・」

エンジュ「そんなの!アタシがお名前あげるもん!」

サトル「!!」
ティア「エンジュさん・・・」
エンジュ「お名前がないのなら、ティアとおなじようにアタシが付けてあげる。それに・・・」
造られた命でも、今は生きてるでしょう?生き物だったら、人間の好きなようにして良い筈が無い。
ギンガ「・・・」
ティア「エンジュさん・・・サンダー様。私も戦います。私達と違う生まれ方をしていても、同じ生き物ですわ。だから、その命が過ちを犯そうとしているのならば、止めてみせましょう。必ずや。」
サトル「俺も戦う。その命が生まれた事が、俺達人間のせいだったら尚更だ。」
ギンガ「・・・俺は・・・」
サンダー「銀の光?」
ギンガ「奇麗事と思われるかもしれないが。——これは、親父が起こした事件だ。息子である俺が、止めるのが常識だろ。」
サトル「・・・自分の義務だって言うのか。」
ギンガ「そうじゃない。これは、俺なりの懺悔だ。M2の事も。ミュウの事も。」
エンジュ「お兄ちゃんはわるくないのに・・・」
ギンガ「いや。親父がああなったのは、俺の責任だ。」
そう言いつつ語りだしたのは、事の発端。話は十数年前に遡る。

十数年前。まだ、ギンガが『本当の両親』と暮らしていた——
ギンガ「かあさん!」
そう、母親も居た頃の話。当時は、世間一般の『幸せな』一家であった。
ハハオヤガ、イナクナルマデハ。
ギンガ「かあさん!どこいくの!?」
母親が、大きな荷物を抱え出て行く光景を見たら、子どもでなくとも心配になる。
母「ギンガ・・・ゴメンね。お母さん、遠くに行く事にしたの。」
ギンガ「かあさん!なんでだよ!?おれも、いっしょにいくっ!」
母「それはいけないの。お願い。お父さんが帰ってくるまでに、行かなくちゃいけないの・・・!」
ギンガ「やだやだぁ!おれもいくぅ!かあさん、おれをおいていかないでよぉ!」
母「ごめんねごめんね・・・本当は、貴方を連れて行きたいのよ。いつか必ず迎えに来るわ。だから・・・」
ギンガ「なんでだよ!とうさんだって、かあさんがいないと・・・」
今まで、父親と母親の仲は悪く無かった。いつでも、理想の父親と母親だったのだ。
母「ギンガ、お母さんは、お父さんと喧嘩したから出て行く訳じゃないの。今でも、お父さんの事は愛しているわ。」
ギンガ「じゃあ、なんで——」
母「・・・今は話せないの。ごめんね。」
そういい残し、幼い彼を置いて母親は出て行ってしまった。

数時間後、父親「サカキ」が帰宅。
夜なのにも関わらず、明りが一切付いていない我が家に不信感を感じたのか、些か不安そうにドアを開けた。
サカキ「おい、誰か居ないのか?」
不安になりながらもリビングに入り、明りを付けると——
泣き腫らしたのか、目じりが真っ赤になりながらも未だに、泣き続けている息子。
慌てて抱き上げ、涙の所為で赤くなった頬の、涙を拭ってやる。
サカキ「おい、ギンガ。何があった?・・・母さんは?」
返事をしない。ただただ、ひたすら泣き続ける。
サカキ「ギンガ?」
ギンガ「かあさん、どっかいっちゃったんだ・・・」
サカキ「はあ?どこへ行った?」
ギンガ「とうさんが、かえってくるまでにでていかなくちゃって、いってた。」
サカキ「・・・そうか。」
ギンガ「ふえ・・・。かあさん・・・」
ずっと泣き続けていたのだろう。体力が無い幼子は、そのまま父親の胸の中で眠ってしまった。
サカキ「リノン・・・何故だ。お前だけは、俺の世界観に理解を示してくれると信じていたのに。」
それからだ。父親が狂ったように、周りを傷つけるようになったのは。
少し大きくなる頃には、父親のする事に理解出来なくて、父親を止める事が出来なかった。
母親がいてくれたら。ひたすら、その事を毎日ぼやき続けた。

ギンガ「もし、昔に親父を止める事が出来たら。きっと、何もかもが変わっていただろうな。」
一同「・・・」
ギンガ「小さなポケモン達が、犠牲になる事も無かった。人工のポケモンが生まれる事も無かった。誰も傷つく事も無かった。ましてや、リオンが連れ去られる事も・・・」
サトル「わーったよ!よし!お前に協力してやる!だから、過去は捨てろ。」
エンジュ「アタシたちがお兄ちゃんも、お姉ちゃんもまもる!」
ティア「御自分のみを責めないで下さいまし。過去は変える事は出来ませぬが、未来は変えられますわ。」
サトル「だからよ、これからはもう少し俺らを頼ってもいいんじゃねーか?」
ギンガ「皆・・・」
サンダー「心は決まったようだな。」
ギンガ「はい!金の光——リオンを救い出します。必ず!」


次回へ続く