二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- ポケモン二次創作 【虹色の天空】 ( No.64 )
- 日時: 2010/11/18 22:56
- 名前: 豆電球 ◆Y6CWE4r6bA (ID: sp0cIx.0)
第十二章 〜夢の中で〜
ここは、どこなんだろう?僕は、何者なんだろう・・・
紅葉の美しい小道、何処からか流れる荘厳な音楽。そしてはらはらと舞う、木の葉。
隠れるようにして、僕にそっくりの女の子がひっそりと佇んでいた。
???「・・・」
キオン「・・・君は誰?」
返事はない。代わりに、陽だまりの様な微笑みが返される。しかし、それでは困る。早く元の世界へ帰らなければ。
キオン「・・・ねえ、ここは何処なの?」
???「鈴音の小道です。」
今度は、疑問に答えてくれた。知っている。そこだけ「何故か」、年中木々の葉が紅葉している所。
と、言う事は・・・
キオン「今、ジョウト地方に僕は居るのかい?」
???「そう。私が貴方を、ここに呼びました。」
勝手に連れてきて、ごめんなさい。そう、彼女は謝る。しかし・・・
キオン「僕は、カントー地方を旅してるんだ。って事は、一緒に旅をしている子を、一人ぼっちに・・・」
???「大丈夫。私は、貴方を呼びました。ただ、「意識」のみを。「身体」は、同じ所にあります。」
キオン「・・・?」
とてもじゃないけど、信じられない。いや、信じたくない。でも、信じなければいけなかった。
その証拠とばかりに、僕の体を木の葉がすり抜ける。僕はいつ、幽霊になったんだ!?
それとも、何だ?幽体離脱って現象か?某芸人の持ちネタだったよなぁ・・・
???「ご安心を。用事が済めば、自然と元に戻りますから。」
ころころと、笑う彼女。本当に、僕に似ている。と、言うよりは・・・
キオン「まるで、鏡に映る自分を見てるようだなぁ・・・」
???「そうでしょうか?違いなら、沢山あるじゃないですか。」
ほら、とばかりに長い漆黒の髪を見せる。僕と全く同じ、闇夜を切り取ったような黒。
???「まあ、貴方は切ってしまいましたが。」
勿体無いと、頬を膨らます。悪いけど、僕はそんな可愛い仕草は出来ないよ。
キオン「で、どうして僕を呼んだの?」
???「・・・」
またか・・・。まったく何で君は、いつもいつもいきなり黙るんだい?一体何度目だと思ってるの?
さっきの疑問達も、ずっと前に聞いた。今は、自分の気持ちを落ち着けさせる為に聞いている。
でも、何度会っても彼女は名前を教えてくれない。
???「今回貴方を、呼んだ理由は・・・ある組織の話です。」
神妙な面持ちで、僕を呼び出した理由を教えてくれた。
キオン「組織って、「ロケット団」だよね。前、聞いたけど・・・」
???「新情報です。組織の本拠地が判明したので、そちらの情報を渡したいと思いまして。」
キオン「・・・!!」
空気が一瞬で張り詰める。
キオン「そ、それで・・・奴らは何処に?」
???「ヤマブキシティの、シルフカンパニーはご存知ですよね?」
キオン「うん。六年前、ロケット団が本拠地にしていた所だよね?」
ヤマブキシティにあるビルの中でも、断トツに大きいビル。それが、かつてカントーを初め、全地方にまで力が及んでいた組織の心臓部であった。
現在は、ポケモン協会の支部となっている筈だが・・・
キオン「まさか・・・またなのか?」
???「いいえ、それはないですよ。なんせ、ポケモン協会の支部ですよ?いくらなんでも、付け入る事は出来なかったのでしょう。」
キオン「では、何処に?」
???「地図には載っていない、小さな町にあるそうです。」
キオン「地図には載っていない?」
それは、別に不思議な事ではない。カントーにも、ジョウトにも地図に載る事はない、小さな町がそれぞれ一つ、二つは存在する。
キオン「カントーにも確か二つあったような・・・」
???「一つは、シオンタウンとタマムシシティの間の八番道路辺りにある、ミウタウン。」
キオン「もう一つの町は・・・?」
???「トキワの森の奥深くにある、ショウエンタウン。」
キオン「・・・そんな所あったっけ?」
???「分らないのも無理はありません。何しろ、森と共に生を織り成す町ですから。部外者は自然と、入る事ができないようになっているのでしょう。」
キオン「彼女の出身地は、確かトキワと聞いたんだけど、この話を元にすると・・・」
???「ええ。エンジュさんの本当の出身地は、ショウエンタウンです。多分、本人も知らないでしょうね・・・」
キオン「その二つの内、どっちかって事か。」
???「もう、私が言わんとする事はお分かりですよね?」
うん。君が何を、僕に頼むのか分ったよ。元々、それを引き受ける為に来たんだから。
キオン「OK、任せておいて。じゃあ、そろそろ戻る。」
???「ええ。よろしくお願いします、キオン。」
赤い木の葉が目の前を舞い・・・
エンジュ「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」
ああ、戻ってきた。元の世界に。
ここは、ハナダシティのポケモンセンター。宿泊室で、いつものように眠りにつき、彼女と話した。
キオン「ふあ〜・・・よく寝た〜。おはよ。」
エンジュ「いつもより、おきるのおそくてしんぱいしたんだよ〜」
キオン「はは、ごめんごめん。」
エンジュ「まったく・・・さあ、朝ごはん食べにいこう!」
まってるから!と、部屋から出て行った。
僕は、一つ息をついて、後を追うように部屋をでた。
次回へ続く