二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.14 )
日時: 2010/10/24 10:06
名前: 扉 ◆A2rpxnFQ.g (ID: TtH9.zpr)
参照: 最期の言葉。それは、最期の願い。






これが、アナタに託す、私の最期の言葉です。






「あ、不二くんだ」

青春学園の3年であるリサは、同じクラスの隼人と再会し、森の中を移動してた。
そんな時、1人の同級生と出会う。

「え?」

隼人が振り向くと同時に、リサは少年の方に移動を始める。

「あ、オイ!」

隼人の位置からは不二の姿が見えなく、リサが当ても無く闇雲に動いているように見えた。
冷や汗が背中を流れ、勝手に動くリサを、急いで追いかけた。


——追いついたとき、彼の体中に、冷や汗も凍るような、悪寒が駈け巡るのも知らずに。


「不、二く、ん」

目の前に居るのは、誰?

「不二くん、だよね?」

頭では分かり切っている当たり前のコトを、リサは思わず訊いてしまう。
目の前にいる、彼は笑った。

「そうだよ? リサ、どうしたの?」

語りかけられた、それだけなのに。


どうしようもなく、コワイ。


だって、だってね。

「何を、持って、るの?」

それは、なに?

彼は、再び笑う。
さっきとは別の“冷たい微笑み”で。



「コレのこと? これはね、越前の血が付いた包丁」



「え?」

またもや、思わず訊き返す。

「見てご覧。 ほら、越前らしいよね。 涙1つ流さなかったよ。 コレを刺されてもさ」

嘘、でしょう?

「“人は殺さない”って、意志を貫いたよ。 でもね、そういう人は殺されるだけなんだよ」

狂ってる。

「リサも、越前と同じなのかな?」

その問いに、リサは肯定も否定もしなかった。


「・・・キミが否定しても、僕がキミを殺すことに何も変わりはないんだけどね」


嫌だ。
こんな人に、こんな殺され方。

リサの頭に、瞬時に浮かんだのは、隼人。

あの人を、あの人を守るための命だ、と誓ったのに。
こんな馬鹿みたいな考えの人に、こんなにあっさり。

「嫌、だよ」
「関係ないよ」
「い、や・・・」

リサの背中に、土の壁が当たる。
行き止まりだ。
不二は、ゆっくりと喉に包丁を突きつける。
そして、笑う。

「サヨナラ」

刹那。
脳裏に何度も浮かんだ彼の声。


「何してんだよ! 不二!」


男の声にしては高い隼人の声が、叫び声となってリサに届く。
リサも不二も、隼人のほうへと振り向く。

「隼人も、いたんだね」

隼人の目に、包丁が映る。

「まさか、リョーマも、不二が・・・」
「だったら、どうだって言うの?」

瞬時に、身体が悟る。
逃げなければ死ぬ、と。

戦うのは、得策じゃない。

隼人は、掴んでいた石を、不二に向かって投げた。

「!」

刹那、不二の手がリサの喉元から離れる。


そのあと、どうやって此処まで逃げてきたのか。
記憶が定かではない。



「・・・リョーマくん、泣かなかったんだね」
「え?」
「リョーマくんね、不二くんに刺されても、涙流さなかったって、」

切なさいっぱいに、リサが語る。


「この状況で、意志を貫くって凄いよね」


私も、そうで有りたい。

「そうだな」

隼人も、同じコトを思いながら頷いた。
この時からだろうか、それまで無かった不安と嫌な予感が、隼人の脳裏にこびりついた。

——どれくらい、経っただろうか。

リサは、少しだけあいたカーテンの隙間から、外の様子を見た。
無論、隼人に怒られたが。
外には不二の姿は無く、もう諦めただろうと話した。

「大丈夫、かな?」
「この島に“大丈夫”って言葉は、存在しないと思うよ」

隼人は呆れた口調で言う。


『放送をする』


「「!」」

雑音と共に、低い男の声がスピーカーから響く。
耳を澄ませた。
仲間達の安否を確認できる手段は、他に無い。

『青春学園、越前リョーマ、大石秀一郎、菊丸英二・・・』

聞こえるのは、仲間の名前ばかり。
狭い小屋の、ドアがゆっくりと開く。
開けたのは、リサでも隼人でもなかった。

『、河村隆、桃城武——・・・』


「皆、ちゃんと死んだみたいだね」


そこに立つのは、かつての仲間。
今は——、悪魔でしかない。

「キミたちを探している間に、会ったんだ。 皆」

リサと隼人は、声も出ない。


「急いで殺したから、不安だったけど」


その笑みは、もう、人じゃない。
隼人は、懇親の力を込めて睨む。

「最低だな、お前・・・・!」
「そんなコトは最初から分かってるよ」
「それが、最低だって言ってんだよ」
「ごめんね」

リサは、これほどまでに冷たい謝罪を、今までに訊いたことが無かった。










これほどまでに、人を殺したい、と思ったことも。










無かった。


「隼人」
「何だよ、リサ」

その手で、しっかり隼人のユニフォームを掴む。
怒りに震えるココロを抑えながら、掴んだ。
反対の右手では、怒りを抑えず“ナイフ”を握った。









「大好き、」










「は?リサ?」

リサは、悲しそうな瞳をしていた。





「サヨナラ。 ごめんね。 でも、大好きだよ」





隼人の頭は、状況を理解するのに時間が掛かった。
目の前は血の海。
狭い部屋に、血が広がる。
血のにおいが、立ちこめる。
2人分、の。

「リサ・・・・?」


返事は、無い。


状況が、少しずつ頭に入り込んでくる。

リサが、不二に向かってナイフを向け、走っていった。
不二はそれに対して、自分の包丁を向けた。
2人とも、逃げなかった。
だから、2人とも。
死んだ。


“大好き”


リサは、言葉と、行動で、それを力一杯表現して。
死んだ。














Last Voice

キミから僕へ。
生きて、という願いが“大好き” という言葉となって、託すされた。
でも、無理なんだ。
キミが1番、それを分かってる癖に。





涙が一粒、流れた。





『禁止エリアは———・・・A−12、C−8・・・』

ここは、禁止エリアだ。


『追加だ。 青春学園、不二周助、織原リサ——・・・中務隼人』