二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: VOCALOID物語 ( No.120 )
- 日時: 2010/11/09 19:00
- 名前: 無幻 (ID: 8hgpVngW)
■[レン.リン] 鎌を持てない死神の話 *。+゜ 01 ゜+。*
その黒ずくめの男は、——『死神』。
あらゆる命の期限を知る者です。
ただし、自分では生き物を殺しません。
——殺せません。
実際に殺すのは、別の実行者——『鎌』たち。
黒服が街を行く。
消え逝く者を捜して。
(はぁ…退屈だ。うん、そこら辺の“あと少しだけ”生きれる奴を捜しに行こう、そうしよう。)
そう、それ退屈な気分を誤魔化すだけの遊びだった。
少女に出会わなければ。
死神が街を逝く。
あ、逝くっていうのは、その…僕は既に死んでいるワケで。
人間の格好してるけど、やっぱり中身は死んでいるワケなので。
うん?何言ってるの、僕。うん、おいとこうか。
あ、そういえばどっかのなんかのアパートに住んでるおっちゃんが死んじゃう頃だ。
ごしゅーしょーさま。
そんな時見つけたのは、可愛らしい伯爵の娘。
うーん、でも『恋慕』とか、駄目なんだよね。
あ、そっか。伯爵の娘だからきっと偉そうなんだろうな…。僕の理想は『気取らず優しい子』だし。
それにあんな小っこい子だし…そんな、ねぇ(笑)
つーことで、れっつらごー。
少女は病に倒れていた。
結果、医者に告げられた『手遅れ』。
嘆く伯爵たちを余所に、ただ一人娘は冷静に言った。
「じゃあ、…殺して。」
身体の芯から喜びが湧き上がる。
あ、彼女じゃなくて僕が、ね。
きっと貴女も私と同じなんでしょう。
孤独で、寂しくて、虚しくて、悲しい存在。
死神でよろしければ
“友となって差し上げましょう”
僕は初めて少女の前へ出向いた。
少女は僕を見るなり行った。
「貴方、死神?」
「…そうですよ。死神、ハヴェリーです。」
「私は——アカネ。ねぇ、死神様なんでしょ!?なら、今すぐ私を殺しなさい。」
少女波揺るぎない瞳で言う。
大して僕はたじたじ。はい、嘘です、ゴメンナサイ。
「それは——出来ないな。」
「……?私の言うことが聞けないの?」
「ええ、まあ。」
「——死神様って融通が利かないのね!」
「…」
まあ、そりゃあさ、僕らは…殺せないし、死ぬ事も出来ない。
目の前で人が死んでいくのを見ているだけさ。
『鎌』は喋れないから、暇なんだよねぇ。
つか、やっぱり偉そうだ。
ばーかばーか、どーせ僕はVINBOu(貧乏)ですよー。
「ねぇ。」
「ばー……何?」
ばーかって言おうとしてた。心の声漏れはじめだ。
はい、何でしょーかおじょーさま。
うーわー、何か見てるよ?こっち見てる。
なんて、言わないけどね?
「…アンタ…ううん、ハヴェリー。ハヴェリーはお金持ってないの?」
でーたー、出たよお金もち発言w
さっきから言ってんでしょ、僕は貧乏なのだっ
「この黒マントを着た如何にも怪しそうな男がVIN…貧乏以外の何に見えるというのかね?」
「…ええ。期待するだけ無駄だったわね。」
あっさり肯定しやがったよ、こんちくしょー。
さっきからずーっと思う。この子、失礼。
明らかに僕のが年上だよね?僕は親の七光りだのなんだのは受けてなーいーのー。
心はイイ子なんだからねっ!…なんて。キモ。
「おやすみー。」
「え?いきなり?ちょ…なんだったの?今の件は。」
「ぐー。」
口で言うな、口で。
だけど、嘘だと思われていた口での寝息(?)も何時の間にか本当に変わっていた。
ほんとに、まったく、もう…。