二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【REBORN!】 風、来たる。 ( No.3 )
- 日時: 2010/10/28 18:33
- 名前: ゆらゆら ◆U4ADJleouU (ID: kGzKtlhP)
—第一話—
「————————ッ」
目が覚めてそれが、夢だと知る。
荒い呼吸を整えながら、汗で纏わりつく服を少しだけはためかせた。
ゆっくりと起き上がる。時計の針は、五時を指していた。
まだ活動するには早すぎる時間かもしれない。
でも、もう一度眠りにつく気にはなれなかった。——また、同じ夢を見てしまいそうだったから。
大きく伸びをして、ベッドから降りる。
朝の恒例行事を一通り済ませると、朝ごはんを作るために台所へ向かう。
アパートは広くない。けど、一人で暮らすには充分すぎる。
ありがたいことだ、と目を伏せてそう思った瞬間、手の平からまな板がシンクの中へ盛大に落っこちた。
まどろみが深い時間帯には、無粋すぎる音が響く。
慌ててまな板を拾い上げるが、時既に遅し。
『おはよう、千風。——今日もこの起こし方だったな』
声が、した。
ぎくり、と肩を強張らせて、その方向へと気まずそうに顔を向ける。
——声の主は、ペンダントだった。
「お、おはよう。————"神様"」
引きつる頬を、口角ごと無理やりあげようとすると、更に引きつるものなのだと理解した。
— — — — —
『まったく。まな板の音で起こされるのは、先月から数えてこれで累計七十六回—— 一日に何回落としているんだい、千風』
「だ、だって神様。まな板って滑るんだもん。掴みにくいというか……取っ手が不親切すぎるって、ずっと思ってたんだけど」
『味噌汁、沸騰してるぞ』
「えっ、うそ」
やだもうほんと勘弁してよ! 涙目になりながら千風は叫んだ。悲鳴に近かった。
そんな様子を見て、ペンダント——もとい神様は、やれやれとため息をついた。……ように見えた。
櫻井千風は、神様と暮らしている。
先月家族に降りかかった不幸な事故により家族を失った千風は、とある事情から、ここで神様と共に暮らしているのだ。
その"とある事情"は、説明すればするほど話が長くなる上に、到底信じてもらえないような内容だから、カット。
それよりも今大切なのは、味噌汁が無事に完成したかどうかだ。
「あ、よかった焦げてない」
『味噌汁は焦げるようなものじゃないと思うが』
「櫻井さんちのオプションです」
一人分の味噌汁なのだから、量はいらない。
そして当然、一人分なのだから、一人分の食器の片付けもしなくてはならない。
そう考えると、お椀に盛ることも面倒臭く感じ始め、千風はその場で自分のお箸を取ると、両手を合わせた。
「いただきます」
『また台所で食ってるのか。立ち食いは行儀悪いぞ』
「だって面倒臭いんだもん。……あ、豆腐入れるの忘れた」
『腐るぞ』
「今日の夕飯は冷奴。よし、決まり」
豆腐が腐るのか、とかそういうことは問題ではない。
味噌汁を食べ終わり、再び手を合わせる。
「ごちそうさまでした」
使ったものは箸と鍋、ネギのついた包丁と、何故だかネギの色素が染み付いているまな板だけ。
水道代も浮く上に手間も省ける。得をした。私頭いい。
上機嫌に鼻歌まで歌いながら片付けを始める。
味噌汁を食べたらもう満足した。ご飯はいいや。あんまりおなかすいてないし。お米減らしたくないし。
『千風、しっかりメシを食え。倒れるぞ』
「ご飯食べ過ぎると吐くー。味噌汁でお腹いっぱい。ネギ最高」
はぁ、と神様が盛大なため息をついた。声しか聞こえないのに、呆れ顔まで見えてくる。不思議。
片付けをし終わった手の平の水滴を手ぬぐいで拭きながら、制服に手をかけた。
「まだ六時だ……学校に行くには早すぎるよね」
『なに言ってるんだ、今日は日直の日だろう?』
「あぁ、そういえばそうだったかも。……沢田くんとか。今日こそは二人でできるかなぁ」
クラス替えをして半年以上経つが、彼と二人で日直というものをやったことがない。
一度目は彼が欠席して。二度目も彼が欠席して。三度目は私が休んだ。——家族の葬式だ。
そして今日が、四回目。
「日直なら、ちょっと早く行っても大丈夫だよね。よし、着替えよ」
『千風、やっぱりたんぱく質をとらないと胸が膨らまないんじゃ——』
「余計なお世話!」
ばさり、と脱いだパジャマを変態神様に力強く叩きつけてやった。
——————
>>002 風さま
はじめまして、コメントありがとうございます♪
「風」って、いい漢字ですよねー。大好きなんです。
大好きな感じを大好きな設定の主人公にいれてみました。
プロローグはともかく第一話は……;;
「沢田」って名前しかでてきてないですね、すみません;;
力不足です……もっと上達しないかなぁ←
ちなみに味噌汁が焦げるのかは分からないです。
でも私は味噌汁を鍋から溢れ返したことならあります。←