二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN!】 風、来たる。 ( No.9 )
日時: 2010/10/30 21:07
名前: ゆらゆら ◆U4ADJleouU (ID: Thm8JZxN)

—第四話—



「さ、櫻井さん、凄いね」
「え……?」


教室に向かう途中、隣を歩く沢田にそう言われた。
あまりにも突然のことで、素っ頓狂な声が出る。思わず彼を凝視した。

それを彼は、不快にさせたと勘違いしたのか、ごめん、と慌てて叫ぶように呟く。


「ううん、謝らないで。そう言われるなんて思ってなかったから、吃驚して」
「え、だって凄いよ! あのヒバリさんに話しかけるなんて……!」


ヒバリ? 聞き覚えのない単語に首をひねる。
その様子を見て、千風の思っていることを察したのだろう。
沢田が信じられないと言うように、恐る恐る訊ねてきた。


「……櫻井さん、風紀委員長の話、知らないの?」
「物凄く強くて怖いとしか知らないなぁ。あ、でもさっき知り合えたよ!」


よほど嬉しかったのか、笑顔でそういう千風。
……だがそれより沢田は、今まで知らなかったという事実に驚いていた。
先ほどからふて腐れたように後ろを歩いている獄寺も同じなのだろう。あんぐりと口を開けていた。


「あの、風紀委員長の名前をヒバリさんっていうんだ」
「ヒバリ? ……へー、そうなんだ。可愛い名前だね」


いや論点はそうじゃなくて。

なんだかツッコむ気力も失せる。
あまり話をしない彼女だからとか、そういう理由もあるのかもしれないけれど。
それでも一番は、——彼女が本当に嬉しそうだったからだ。

彼女は、感情を激しく表に出すようなタイプではない。
いつも、考えているんだか考えていないんだか分からない表情をしている。
ぼーっとしているのかさえ分からない。……あまり話さないからかもしれないが。

だから、彼女がこんなに笑顔になっているのは、初めて見たような気がするのだ。


「沢田くん、日誌取りに行くのとチョーク取りに行くの、どっちがいい?」
「あ、じゃあチョーク……って、櫻井さんそれ両方同じだから! 両方職員室に行かなくちゃいけないから!!」


あれ、そうだっけ。
階段の手すりに手を掛け、首をひねる。
そんな彼女の様子を見て、獄寺がついていけない、と言いたげにため息をついた。


(なんか……櫻井さんって、抜けてるのかな、天然なのかな……)
「あっ、ちょっと獄寺くん! 獄寺くんはどーしたい!?」
「はっ?」


あまりにも唐突に千風が獄寺に訊ねる。
ぽかん、とした表情を浮かべる獄寺と、いたって真面目な表情の千風。
対極的だが、沢田にも何がどうしてこうなったのか分からなかった。


「な、……何がだよ……」
「チョークと日誌と、花瓶の水替え。あっ、あと窓も」
「だから、なんで俺がやることになってんだよ……?」


笑顔が引きつってるよ、獄寺くん。
心の中でツッコむが、彼の笑顔はますます引きつるばかり。
そんな彼を見て、不思議そうに千風が言った。


「だって、沢田くんと日直しにきたんでしょう?」


ほんと仲いいね。

にっこりと微笑む千風を見て、沢田と獄寺は確信した。


————こいつは、天然でも抜けてもいない。




((ただの阿呆だ……!!))





— — — — —




並盛中の屋上。
秋晴れの清々しい空が拝めるそこの、フェンスの上に、小さな影があった。

双眼鏡越しに覗く大きな瞳には、その小さな影には不釣合いな色が含まれている。

その視線の先は、——沢田と共にいる少女。


今朝の、"影"との戦い、身のこなし、眼光。——二本の刀。
それから、彼女が"神様"と呼んでいた、喋るペンダント。

不確定要素が絡み合う。小さな影は薄く笑った。
とてつもなく、興味深いからだ。
それは、雲雀が彼女に抱いたものと似ているだろう。


「櫻井千風、か……」


文献などを漁って調べてみたが、彼女の名前も、彼女の使う技も、マフィアの世界ではなかった。
ということは、彼女は一般人ということになる。
一般人だというのに、あの身のこなし。……欲しい。


あの力は、欲しい。


彼女を見る視線は、興味深いものと、力に関しての欲望だった。
フ、とほくそ笑んで、双眼鏡から顔を離した。



「いいかもしれねえな。——これからくる戦いに」




いずれ来るだろう戦いのときに。
その戦いの、——イレギュラーな存在として。

そして、必ず大きな戦力になる、大きな存在として。




「——ファミリーに、迎えるか」



小さな影——リボーンは、愉快そうに言った。





— — — — —
>>008 無花果さま
無花果さああああん好きでえええす←

それは私の台詞ですよ!!
戦う女の子もえ!もえ!!(´∀`)←

雲雀さん……一番動かしたいけど動かしにくい((
彼が千風に恋愛感情を抱くかは……私にも分かりませn((