二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: Synchronicity 〜巡る世界のレクイエム〜 ( No.9 )
日時: 2010/10/31 11:59
名前: 生死騎士 (ID: kS1s3PtF)

第一章 〜君を捜す空〜



第一話 『始まり』


とある町。
その中の一軒の家から、元気な赤ん坊の声が聞こえてくる。

ベッドには黄色い髪をした、双子の赤ん坊。隣には、二つの番のペンダントが置かれている。
そしてその赤ん坊を愛でているのは、優しそうな母親。

窓からは暖かな日が射している。
そこだけにゆったりとした時間が流れているようだった。


ドンドン・・・

家のドアが少し乱暴に叩かれた。
母親はベッドを立つと、ドアを開ける。

家を訪ねたのは、王宮の使者と兵士達だった。

「お前が、グレイス・ガスタか?」
「はい、そうですが・・・」

使者が母親の目の前に、一枚の紙を突き出す。
「お前を殺人の容疑で逮捕せよとの命令がでている。よってお前を、王宮へ連行する!」
「待って下さい!!私は人を殺してなんかいません!!」
「証拠はあるんだ!さあ、来い!」
兵士達が母親を取り囲んで、連れて行こうとする。

「待って!」
母親は愛しい我が子に手を伸ばした。
「私には子どもがいるんです!!どうか、放して下さい!!」
その声に兵士達は聞く耳を持たず、母親を羽交い絞めにして引きずっていく。

母親はなおも叫びながら、手を伸ばす。
しかしその手はもう双子に触れることはできず。


母親はいなくなった。
双子の赤ん坊が泣いている。
そのうちの一人を使者が抱き上げて、二人を引き離した。



──その家の、平和だった時間は止まった。






それから、18年という年月が経った。