ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

第八話『“実験者”』

唖然とする士に、紅は話を続ける。
『貴方が夏海さんの世界に居た時、バックルとカードを持っていなかった事は覚えていますよね？』

「……ああ、お前が聞いてたからな。よく覚えてるよ。」
士は頷く。
『実は、以前貴方と私達は協力していたんですよ。反ショッカーのレジスタンスとしてです。私達が貴方に初めて会った時、まだ貴方の記憶は失われていませんでした。』

士は話を理解しようとしたものの、皆目理解できない。最も、その際の記憶が無いので当然の事なのだが。

「つまり、俺の記憶が失われたのはその後——。」

『そういう事です。』

気のせいか、紅の身体の輪郭がぼやけて見え始める。目を擦ったが、効果はない。
次第に彼は消えていき、しまいには居なくなってしまった。





その後、彼は再び眠りにつき、……：朝が来た。士は起きる。
ふと、自分の身体にある異変が起こっている事に気づく。

何だろう、簡単には言い表せない何かが起こっている。それだけは理解できる。

そういえば、紅が消えるときに何か言っていたような気がする。何と言っていたのだっけか、思い出す事が出来ない。

——————“実験者”……。

前後に何と言っていたかは思い出せない。だが、『実験者』と言っていたのは思い出せた。


何だったのだろう？

第八話『実験者』　終