二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 仮面ライダーDCD‐the last story‐ ( No.30 )
- 日時: 2011/01/12 18:34
- 名前: モンブラン ◆X.IGmvWvQ6 (ID: 97uBXX7z)
- 参照: http://www.kakiko.cc/mydesign/index.php?mode
第十四話『大首領ライダー!?』
「あれ?もしかしてビシュっちゃんじゃないの?」
場に似つかわしくない声が倉庫内に響く。そこにいたのは仮面を外した大首領だった。
黒い髪は短く切られている。なかなかハンサムな顔立ちだ。
「貴方は……。」
一瞬ビシュムの顔が強張る。
「『大首領室に居るはずの貴方がなぜここに?』って言いたいんだろ?」
大首領の声が一転、ハスキーな声から低いどすの利いた声になった。
「いえ、私は……。」
ビシュムは混乱していた。彼の幻視では大首領は未だ大首領室に居るはずだったのだが、その本人が今自分の目の前に居る。
「それにしても、なんでそんな覆面被ってるのさ?せっかくの人間に似た顔が台無しだよ。」
声がハスキーなものに戻る。大首領はビシュムに近づき、懐から取り出したナイフでビシュムの顔を切る。
顔から血が滴り、青い皮膚が破ける。中には肌色の皮膚が見える。
ビシュムは恐怖によるものか、驚きによるものなのか、全く動く事が出来ない。
大首領は青い皮膚を引きちぎる。するとその中には、明らかな人間の顔が見える。
左目の上に青、脇に赤い装飾があり、髪は真っ白でかなり長く、頭の上で束ねられている。
「ちいィッ!!」
ビシュムは間合いを取り、目から熱線を発射する。
その光線は大首領の頬をかすめ、彼の顔に一筋の火傷が出来た。
「ハハ……ハハハハハハ!どうした大首領!かかってこい!そうだ、せっかくだから地の石の力も使ってやる!」
ビシュムは懐から黒い石を取り出し、それを床に叩きつける。石は砕け、ビシュムの姿が一変した。
四肢は翼竜のそれに似たものになっているが、顔は姿が変わる前のそれを保っている。
立て続けに目から熱線を発射し、床を焦がし続ける。一方の大首領は熱線をよけつつ、ベルトを装着した。
「解った。そのつもりならいいよ。」
大首領の声が抑揚の無いものとなる。
「…………変身。」
[フリーズ]
機械がたった4文字の音声を言い終えない間に、大首領はビシュムの背後に立っていた。
大首領の変身したライダーは、恐らくクロックアップに似た能力を使うライダーなのだろう。変身は解かれている。
「なっ……。」
ビシュムは一瞬でばらばらに切り刻まれていたようで、崩れ落ちるなりばらばらになった。
その死体を酷く冷たい目で見つめる。
「さて、そろそろ行かなくっちゃ。門矢クンも戻ってきたみたいだし。」
大首領は踵を返すと、非常ドアから倉庫の外に出る。
「ああ、早く会いたいなあ……。」
彼はそう呟き、非常階段を一歩一歩、ゆっくりと歩いて行った。
第十四話『大首領ライダー!?』 終