二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 仮面ライダーDCD 最終章 参照600突破! ( No.45 )
日時: 2011/05/08 20:38
名前: モンブラン ◆X.IGmvWvQ6 (ID: Oof0JpPa)
参照: http://www.youtube.com/watch?v

第二十話『第零楽章/やって来た青年』


「なんとなく自分のことが解って来たようだな、門矢士。」
鳴滝は本棚から一冊の本を取り出すと、士の方を向く。

「ではこれから、君の過去について教えよう。」

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『携帯式異時空間移動装置開発プロジェクト 第七次動作実験レポート

 被験者:荻野 正和
 被験機体:第七号
 結果:第七号発動の後荻野正和消滅。別の『世界』に移動したものと思われるが、生死は不明』

「くそっ、また失敗か!」

白衣の男……鳴滝が机を叩くと、無人の研究室に鈍い音が響き渡る。
実験は既に七度行われ、その全てがほぼ『失敗』と言える出来だった。なにしろ、実験に参加した科学者が全員、死亡したか行方が不明となっているからだ。
鳴滝はぶつぶつと聞き取れない声で言うと、研究室から出て行った。

ここは、大ショッカーの設立した研究所。鳴滝章一郎は、現在ここに科学者として勤務している。
行われるプロジェクトは、大ショッカーの大首領直々の依頼である『別の世界への移動を可能とする装置』の開発だ。

現在試作機が八機制作されたが、どれも散々な出来だった。二号機なんて、別の場所に移動できたはいいが装着していた研究員の首から上だけが転送されず、生首だけになったこともある。

なんたることだ!大首領様は首を長くして待っているというのに、研究は遅々として進まない。このままではスタッフ全員が首を撥ねられてしまうだろう。
ここ最近はなんだか胃がキリキリと痛む。胃潰瘍というやつなのだろうか。医者に行ってみた方がいいだろうか。
そんなことを考えながら彼は寮に戻り、すぐに眠りに就いた。

次の日研究所に行ってみると、入口の前に人だかりができている。野次馬を掻き分け進むと、見慣れない若者が倒れていた。
他のスタッフと共に研究所に運び仮眠室のベットに寝かせると、そのまま研究室に向かった。


その日の昼、今朝の青年が施設内を歩き回っているところを作業員が発見。拘束し、幾つかの質問をする。
名前は門矢士。それ以外は本人にも解らないらしい。
大ショッカーによりこの世界の全ての人間のデータが集められた“人民管理局”に問い合わせると、彼のデータが存在しないことが解った。

これは大発見だった。なにしろ、この事実は彼が別の『世界』からやって来たことの何よりの証拠となるからだ。
もしかしたら、彼は別の『世界』に移動する手段を知っているかもしれない。早速彼をプロジェクトに参加させることにした。

第二十話『第零楽章/やって来た青年』 終