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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 僕の兄 REBORN 雲雀短編 ( No.3 )
- 日時: 2010/11/03 20:34
- 名前: 市太郎 (ID: voQe75S9)
二話 遅刻と胸騒ぎ
恭一も恭弥も風紀委員だ。加えて前者は委員長。遅刻者の点検は毎日の事である為、早起きは欠かせなかった。
数分後。予鈴が響き渡る。
「はい遅刻。学年クラス、それと名前は?」
「げー。恭一、お前の親友だろー?」
「順番に言ってねー。言わないと恭弥からの鉄拳ね」
「……何言ってるの兄さん」
「ははは」
不機嫌そうに恭弥は溜息を吐く。
恭一はいつも通り、明るい笑顔を見せた。
普通の授業、普通の休み時間、普通の日常。
そして普通の下校時間。
「恭弥、帰るぞ」
「うん」
「今晩はハンバーグだぜ。お前好きだったよな」
「……早く帰ろう」
身支度を済ませ、足早に応接室を去る恭弥。恭一は後を急ぎ足で追う。
「よし、食材買って帰ろうな」
「……早くしてね」
—————
それから一週間が過ぎた。
恭弥が勢い良く飛び起きた。静かな部屋に荒い息が篭る。身体には汗が浮き出ていた。
彼は夢を見た。久々の夢。それは彼にとって酷く残酷なものだった。
兄が我が手から離れていく夢。暗闇の中を自分一人だけを残して歩いて行く。届かない手。恭弥にとっては苦痛なものだった。
朝から変な胸騒ぎに襲われる。嫌な予感がして堪らない。今すぐにでも兄の存在を確かめたいと思っていた。
その時、廊下から急ぐ足音が聞こえた。慌てて戸を開く。
そこには、息を切らせた兄が居た。
「お、起きたか! 悪い、ちょっと寝坊しちまった! 朝飯できてっから、食うぞ」
「……うん」
恭一は無事だった。急に肩から力が抜ける。
所詮は夢な訳で。
「行くぞ!」
「待ちなよ」
玄関を飛び出て、走って登校する。珍しく遅刻をした二人に、すれ違った生徒は驚いていた。
競うように並んで走る。その時の表情はどちらも健気な少年だった。
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