二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 僕の兄 REBORN 最終話up@ ( No.7 )
日時: 2010/11/04 22:13
名前: 市太郎 (ID: voQe75S9)

エピローグ 追憶

二年後の春。
飛高が卒業後、初々しい新入生が並中に入学した。
もっとも、恭弥は入学式には不参加だったが。

その放課後、恭弥は一人で下校していた。いつもの帰り道を、つまらなさそうに。
生徒はもう下校していた。故に人通りは……ない。

と思っていた。

一人の男が前方に見えた。
恭弥は特に気にせず、ただ前を向いて歩く。
そして、あの事故現場で男とのすれ違いざまに聞こえる——

「……運命とは……」

儚く散ったあの声だった。

慌てて振り返っても、そこには男の姿はなかった。
不思議と気味悪くは感じなかった。再び前を見て歩き出す。

——兄さん、今日ね、妙な男とすれ違ったよ。
  兄さんが言ってた事と同じような事を一人でぼやいてた。独り言にしては長すぎだよね。
   ……兄さん、僕さ、

——もう守られなくても大丈夫だから。
   強くなったんだよ。
   今や学校中を操っちゃって。
   笑えるよね。
   こんな戯言……。

空は橙。真っ黒な髪を靡かせ、一人で優々と歩く少年は俯く。

——今度は、僕が兄さんを守るから。
   だから、今度は置いていかないでくれる?
   いつになるかわかんないけど、待ってね。

少年は過ぎた思いを馳せ、ぽつりと一つ呟いた。

「兄さん」

end