二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン(短編集)忘れな草*リク受け付け中♪ ( No.10 )
日時: 2010/11/26 15:09
名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: /fPzXfuw)

わかる〜I with you〜

 がらっと引き戸式のドアを開くと、教室の中には誰もいなかった。そりゃあもう放課後になって一時間は過ぎているから、仕方のないことだろう。部活がない子はとうの昔に帰路についているし、部活中の子は各々(おのおの)の場所で精一杯クラブ活動に取り組んでいる頃だろうし。——今はそんな時間なのだ。
 薄暗い教室の中はカーテンも窓も閉め切られている。日直の子が律儀(りちぎ)に役割を果たしたみたい。カーテンからわずかに漏れる光だけが、この部屋唯一の光源だけど、窓の真下くらいしか照らさないからなんとも頼りない。暗いのが嫌で、あたしは傍にあるスイッチに手を伸ばした。天井の蛍光灯がつき、整然と机が並べられた教室を浮かび上がらせる。床にあるほこりや小さなゴミまでも浮かび上がらせた。あ、掃除当番がてきとーにやったんだな。あたしは窓側の一番前の席——自分の座席まで歩いた。脇に鞄を置くと椅子を引いて、座った。
 なんでこんな時間に……と心の中で悪態をつきながら、あたしは開けっ放しにしてきた扉の向こうを見やった。下級生数人が何やら喚きながら通って行く光景が目に飛び込んでくる。違う。今度は先生が通貨した。だからあなたじゃないって。

(いつになったら来るのよ……)

 あたしはイライラを覚えながら、ひたすら扉の向こうに視線を向け続けた。


「なあ紅。今日の四時くらいにさ、ここの教室にいてくれないか?」

 朝、一郎太と歩いていたらそんなことを言われた。あたしはなんで? と問い返したが、一郎太は急に顔を真っ赤にし俯いてしまったのだった。僅かに上目遣いであたしを見て来たが、その目は明らかに懇願(こんがん)するものだ。何も言わずにいてくれ、そう目は訴えていた。これ以上突っ込んでも何も言ってくれそうにないので、仕方なくOKの返事をしてやった。すると一郎太は嬉しそうに顔を上げ、絶対だぞ! と念を押し、あたしより先に走り出した。頭の上で結ばれた青いポニーテールが軽やかに揺れていた。

「紅」

 朝のことを思い出していたあたしは、急に声を掛けられてびくっと身体を震わせる。顔を上げると、一郎太がいつのまにかあたしの目の前に立っていた。なにやら緊張した面持ちだ。しかも何やら顔全体が赤い。両手を後ろで組んだりなんかしている。まるで応援の団長さんみたいだ。

「一郎太。散々人を待たせて……何の用よ」

 あたしが呆れの意味も込めて呟くと、

「す」

 一郎太の口が”す”と言う音を発した。でもそれ以上は何も言わない。口をつぐんだまま、あたしから視線を逸らしている。

「一郎太、言いたいことがあるならさっさと言ってよ」

 もう立腹していたあたしは一郎太をせかした。
 すると一郎太は急にあたしをしっかり見据えて来た。心の奥までしっかりと見るかのような強い視線。いつもとは違う一郎太。な、なんだろうか。心臓が早鐘を打ったように高鳴る。

「好きだ! 紅!」

 次の瞬間一郎太が必死な声で叫んだ。目を閉じ、頭を何故か下げる。下げすぎてあたしの机にぶつけた。うっとうめき声が口から洩れる。
 痛がって頭をさする一郎太に対し、

「なっ! 何言ってんの!?」

 あたしの口はなんともまあ現実的な言葉を紡いだ。”スキ”という単語が頭を堂々めぐりしている。すきすきすきすき。一郎太の言葉が何度も何度も反響し、脳内でぐるぐる回っている。意味が拾えない。え、”スキ”って梳き? 透き? 好き?。

「お、オレはお前のことが好きだ。紅……」

 恥ずかしそうに頭を掻きながら、あたしから視線を外しながら一郎太が呟いてあたしは言葉の意味を理解する。”好き”、だ。ウソっぽいけど現実なんだ。

「こ、紅?」

 ならいじわるしてやろう。あたしは席から立つと、一郎太と向かい合った。すっと片手を伸ばし、届きますようにと祈りながら一郎太の唇にあたしは自分の唇を近づけた。

〜FIN〜
初リク消化!

ドロップさんすいません、むちゃ駄文です。キャラのイメージがそっていない確率も高いし、なんかギャグシーンがあまりなくてすいません。甘目を目指しすぎて結局ダメな展開に……!

謝罪はここまでにして、本当にリク有難うございました!