二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 夏のヘクセ【イナズマ短編】リク受付中! ( No.129 )
- 日時: 2011/08/20 19:13
- 名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: g/rqr0JS)
「なあ、”本当”の勘違いって何だ?」
さっきの私の言葉が気になるしく、風丸さんは首を傾げている。横では吹雪さんも同じように頭を左に倒したり右に倒したりしていた。ふふ、お二人とも私の秘密に気づいていないんですね、と心の中で俺は意地悪い笑みを浮かべた。ピンクの髪を撫でてみると、甘いシャンプーの香りがした。ふっと服に目をやれば木野や音無に見繕ってもらった女物の服。は、俺自身でもうっとりとする完璧な変装だ。今までイナズマジャパンの奴等に見破られたことは無いが——こいつらなら気づくかも。そう思った俺は微笑んで二人を見ながらも、警戒を続けていた。心臓が早鐘のように打つ。汗がべったりと肌に張り付いて来る。
風丸も吹雪も長いことうんうんと唸っていたがとうとう限界に来たらしく、
「ねえ、ボクたちは何を勘違いしているのかな?」
「ヒントだけでもくれよ」
ギブアップしてきやがった。ったく、サッカーの試合の時には諦めない不屈の根性を持つくせに、こういうなぞなぞには弱いらしいな。仕方ねえ、少し遊んでやるか。
「だから、さっきも言ったでしょう?」
「雛菊ちゃんが実は男だってこと?」
お、吹雪のやつは勘がいいな。けれどその声音は笑い声で、言外に信じてないってことを匂わせる。まあ、前にも何度か冗談で「俺は男だ」と訴えても聞かなかった奴だ。当たり前と言えば当たり前かもな。
吹雪の言葉に合わせて、風丸も笑い飛ばす。
「オレたちが雛菊の性別を間違えるわけないだろ。この前も木野や音無しと服を買いに行ったりしていただろ?」
別に女じゃなくても買い物くらい付き合えると思うが——まあ、普通の男なら女の子ときゃあきゃあ買い物したりしないよな。鬼道とかがたま〜に音無の荷物もちになっている以外、ジャパンのメンバーがマネージャーと買い物をしているのを見たことが無い。じゃあどうしようと考えたとき、白いイナズマが俺の脳裏に瞬いた。
「じゃあ、証明してやるよ」
いきなりの俺の男言葉に風丸と吹雪は面食らったようだ。が、すぐに「女の子がそんな乱暴な言葉使っちゃダメだよ」と吹雪にたしなめられちまった。おっと今ここで俺が男だとバラしちゃあつまらないな。
ちょっと乱暴に喋ってみたかったんです、と雛菊スマイルで応じれば二人とも納得したように頷いた。ふう、よかったと心内でため息をつくと、俺は作戦に出る。シャツの裾を掴むとおもむろにめくってみせ、
「ほら男です……」
が、その行動は吹雪と風丸によって阻止されちまった。裾を掴んだ手を無理矢理引き剥がされ、一方的にまくし立てられる。……二人とも、顔が赤いし動作がいつもよりも慌しい。
「ひ、雛菊ちゃん! どうして異性の前で服を脱ごうとするのかな!?」
吹雪は、俺が服を脱いだら女の身体が見えると思っていたらしいな。羞恥心で真っ赤になった顔と、立て続けに放たれる非難の言葉がいじらしくて可愛らしい。ふっと俺の横に立つ風丸に目をやると、風丸は吹雪以上に顔を赤くしながら凍り付いていた。目も限界まで見開かれ、幽霊でも見たようだな。こいつもうぶだな。何だか意外な面が見れて楽しいぜ。
「風丸さん?」
俺が控えめに呼びかけると、風丸ははっとした顔付きになり数回瞬きをした。どうやら別次元に飛んでいたらしいな。お帰り。やがて俺と視線が合うと、ばつが悪そうにそらし、俯いた。ポニーテールが上に跳ねた。そのまま近くにいた吹雪の腕をがしっと掴んだ。そしてきょとんとする吹雪を余所に、扉を開けた。
「……行くぞ、吹雪」
小さい声でぼそぼそと告げると、
「う、うん」
吹雪は困ったように俺を見てから、渋々と言った感じで風丸と共に部屋から出た。扉がパタンと閉じられ、俺は室内で一人。初めは風丸の行動に思わずきょとんとしていたが、徐々に思考が追いつき始める。なるほど、俺が着替えると勘違いした風丸は恥ずかしさから出て行ったのか。そのことに気がつくと思わず俺は笑ってしまった。だって、男の俺が着替えるだけのに、あそこまで赤くなるか? 同性の着替えで赤くなる奴らはあいつらが初めてだ。マジで最高だぜ、風丸、吹雪。
「今度は気づきますか?」
私はそっと呟いてみる。ひょっとすると、その日は永遠に来ないのかもしれない。
〜終わり〜
すいません至らぬ駄文で←
ニケ月近く待たせてこのクオリティです。すいません。文句がありましたら容赦なく浴びせてくださいw