二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 夏のヘクセ【イナズマ短編】 ( No.166 )
日時: 2011/09/03 18:35
名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: g/rqr0JS)
参照: 円秋(?)もどきです。意味不明ですいません←

幸せの彼方

「お〜ありがとうな、秋」

 はいっと作りたてのおにぎりを渡すと、にかっと歯を見せて笑ってくれる円堂くん。ああ、いい食べっぷり。もう半分近く食べちゃった。元気な証拠なのね。イナズマジャパンの”キャプテン”円堂くんになっても、変わらない。その食欲も明るい笑顔も。変わらない……変わっていないのよ、ね。
 そう……よ、ね。口の周りに米粒をつけているなんて、一年前と同じ。もう、円堂くんったら、本当に子供みたいなんだから……苦笑しながら、制服のポケットからハンカチを出して渡そうとしたら、

「おーい、円堂! 練習に付き合ってくれよ!」

 グラウンドの方から、風丸くんが円堂くんを呼ぶ声がして、私は思わずハンカチをポケットの中に戻してしまう。……だってハンカチが役に立たないって、円堂くんとの時間はこれで終りだって知っているから。
 嗚呼、円堂くんはベンチから立ち上がると、私の視界からどんどん小さくなっていく。その小ささに胸の片隅がじくじくと痛んだ。
 許されるなら今すぐにでも立ち上がってその小ささを引き戻したい。でも、許されないのよね。あなたはキャプテンで私はただのマネージャー……私の仕事は、あなたを私の視界からどんどん小さくしていくことだから。二人でサッカー部を作ってきたときから薄々わかっていたことなのに、薄々望んでいたことなのに、胸に幾重も苦痛の波紋が重なるのは何故なの?

「ああ。わかったよ風丸!」

 風丸くんやみんなに向けられる笑みは——同性に、仲間にだけ向けられる明るい眼差しで。マネージャーである私に向けられる笑みとはちょっと違う。似てるけど、違う。だってそれ、励ます笑みだもの。マネージャーには「ありがとう」って笑顔だけど、みんなには「頑張ろうぜ」って笑みなんだよね。ううん、違うな。
 選手には「ありがとう」も「頑張ろうぜ」も見せるけど、マネージャーの私には「頑張ろうぜ」って笑ってくれたこと無いなのね。マネージャーは選手じゃないから試合に出ないし、仕方の無いことだけど。それでも、選手と同じように「頑張ろうぜ、秋」と話しかけられたいのは、私の我が侭かな? 
 
「円堂、口が米粒だらけだぞ。これで吹いたらどうだ?」

 風丸くんが呆れたようにハンカチを手渡して、円堂くんはさんきゅー風丸とお礼を言って口を拭き始める。その光景に私は風丸君にかつての己を重ねた。落ち葉が舞う校庭の木の下で——一年前、ハンカチを渡したのは他ならぬ私だった。それが一年後には風丸君が立っているなんて、その時の私は思いも寄らなかっただろう。でも、円堂くんの笑顔だけは同じなのね。あなたのその笑顔だけはそこにあるのに、ひどく遠く感じます。

「……あ」

 零れるのは、誰の呟きかと思ったら、私の呆然とした呟きだった。
 でも、円堂くんは私が呟いたことなんて微塵も知らずに練習を開始してしまう。青い空に、円堂くんが蹴り上げたサッカーボールが高く舞った。

 ——ねえ、円堂くん。

 私は上がっていくボールに思いを重ねる。

 私、いっそ男の子にうまれてきたほうがよかったのかな? そうしたら、円堂くんと一緒にサッカーできたし……もしかしたら、豪炎寺くんのポジションが私で、信頼しあうGKとFWだったかもしれないわね。それにね、こんな風に悩むことも無かったと思うの。悩んでもサッカーのことなら円堂くん優しいからしっかり聞いてくれるし、もっとお話できたかもしれないね。

 でも、と私は重力に引き寄せられるボールに思いを重ねる。

 私、女の子に生まれて良かったと思うわ。だってそうじゃなきゃ、こうしてマネージャーとして円堂くんを支えられないから。私、一緒にサッカーする仲間もいいけど、支える側も素敵だと思うの。きっと私とあなたは”マネージャー”と”キャプテン”としての関係でいるのが幸せなのよね。そう、運命は決まっているのかしら。運命は私たちが惹かれあうことを許してくれないのかな?

 そして、地面にぶつかり、跳ねたボールに私は祈りを込めた。

 それでも私、あなたの事が好きよ、と。ボールが重力に逆らって跳ねるように、私もあなたへの思いは増していくばかりです。

(逆らうのも、いいことなのかな)
円秋←
まあ、話せないけど本当は昔みたいに円堂くんと話したいよ〜と言う秋ちゃんのつもりです。ゲームでもそんなことを言っていたので、書いてみました。くそ、誰か綺麗な文の書き方教えk
意識してないけど最後の唄が百人一首っぽいですね。こいぞつもりてふちとなりぬる?←
これから夕食です。夜にはリサマク書くので、一度落ちます><