二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン(短編集)忘れな草 ( No.2 )
- 日時: 2010/11/13 17:37
- 名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: 2lvkklET)
tears of mermaid(童話パロディ)
私は『人魚姫』と言う話が、嫌いだ。
いつから? と問われればわりかしら最近のことだと答える。子供のころは確かに好きであった。
一途に王子を想う人魚姫。でも運命は残酷で、王子は人魚姫のココロに気づかない。
人魚姫が天へ昇って行くあのシーンは、絵本の挿絵を見て何度も泣いた。どこまでも純粋な人魚姫が、紡ぎ出す物語に幼い私はどこか惹かれるものを感じていた。子供心に恋にあこがれていた。
しかしいつの日からか嫌いになってしまった。
記憶を掘り返すと、父さんが私たちにエイリア石の力を与えたあの頃かもしれない。嫌いになったのは。
『ガイア』に所属し、練習に明け暮れる終わりの見えない日常が訪れたあたりで嫌いになったのだ。理由はわからない。私の部屋の本棚にある『人魚姫』と言うタイトルが目に飛び込むだけで、心の奥からやるせない思いが込み上げて来た。耐えきれなくなり、最後は部屋のどこかに隠してしまった。どこかなどは覚えていない。しかし先日部屋の片づけをしていた時——
「これは……」
ひょんなことから私の手元に戻ってきた。
本棚を整理していたら、本と本の間に挟まっていた。小さい絵本なので、大きな本と本の間にすっぽりハマり、見事に隙間を演出し、私はかなり長いこと忘れていた……そういうことらしい。
私は部屋のベッドに腰かけ、出てきた本をじっと見つめた。
文庫ほどの大きさの本当に小さな小さな絵本。父さんからの誕生日プレゼントで、捨てる前はかなり読んだから表紙はボロボロだ。セロハンテープで修繕した跡が、いかに気にいっていたかを物語っている。
表紙には長い金髪と緑の尾をもつ人魚姫が、海のお城をバックこちらに微笑みかけている絵。単純な色合いと絵。いかにも子供ものらしい。それを言ってしまえばタイトルだって「にんぎょひめ」とひらがなで印刷されているし、ページだって20ページくらいしかない。
中学生である私が何をしているのだろう、そう思った瞬間——私は独りでにページをめくっていた。左側は人魚姫と海の仲間たちの絵。右側はひらがなだらけの文章。何度も眺めた幼い頃の記憶が鮮烈に蘇る。
嫌いだ、と蛇がつのごとく嫌がっていた絵本をめくった自分の行動がよくわからない。
だが気付けばまた1ページをめくってしまっていた。まるで霊が私の身体に宿り、ページをめくらせているかのようだ。
「……ふん」
自分の行動に呆れながらも”霊”に従ってやることにした。ただし、流し読み。ページを開き、内容をパット見たらすぐに次のページへと移る。しばらくそれが続き、紙が擦れる乾いた音が何度も響き——一枚の絵が私の目に映った。
人魚姫が尾を人間の足に変えた絵。横の文章には、『こうしてにんぎょひめは、おをにほんのあしにかえたのです』と無機質な描写がある。
その絵と文を見た瞬間、私の心に何かが宿った。いや心がささやくのだ。魂が欲するのだ。先に進むことを私のその”内在意識”とか言う奴が望んでいる。
私は急いで次ページに向かい、文章を一語一語、噛み砕くように吟味する。
人魚姫は声を奪われた。だから王子様に気づいてもらえない。次。人魚姫の姉たちが、短剣で王子の首を刺すように言った。次。しかし人魚姫は刺せず、自分が死ぬことを選択する。次。人魚姫は天に昇って行く。……これで絵本は終わりだ。私の頬を何か熱いものが駆け抜けていったと気付いたのは、その数秒後。 まさかと思い目尻を人差し指で拭うと、見事なまでに水滴が存在していた。私は泣いていたのだとすぐに気付かされた。幼いあの頃のように、人魚姫を思って泣いていたのだ。
「……そうか」
泣いていることを自覚したとたん、私は嫌っていた原因を自覚した。
勝手に応じに恋し、勝手に命の花を散らした人魚姫。まるでこの前までの私ではないか。そう考えたとたん、自虐的な笑みが口に浮かぶのを感じた。頬を伝う感覚もますます熱くなり、視界もなんだかぼやけてきた。
私は父を”一途に”崇拝し、父のために”一途”に身を削ってきたのだ。人魚姫と同じ、思う人のためだけに働いた。その結果は泡になることではなく、”ウルビダ”と言う私を捨てること。
なるほど。私は、こうなる現実をどこかで予想していて……こうはなりたくない、とかえって否定していたのだろう。人間は自分に似たものを嫌うと言うやつだ。
「人魚姫よ、今回は貴様に同情しようではないか」
絵本の表紙で微笑む人魚姫に私は心の中で語りかけた。負け惜しみに聞こえるかもしれない。けれど私には人魚姫と違いまだ動ける身体がある。
「だが私は進むぞ。貴様と違いまだ生きているのだからな」
やりたいことがまだあるのだ。そう——彼に会おうという夢が。
私も今から魔女に頼み込むところだ。その結果が私が泡になることであろうとも、後悔はしないつもりだ。
——こうして人魚姫は二本の尾を人間の足に変えた
〜FIN〜
駄文WAO!えーっと童話パロディですなう。
時期はエイリア学園崩壊直後です。嫌いだった童話はどこか自分を暗示していて、読みかえすとウルビダ自身そっくりであり、同情。なんかようやく”ウルビダ”から”怜名”に戻れたということを表現しようとして玉砕wwなにこのいみふ文章w
ちなみに最後の魔女はヒロト、彼は円堂ですvゲームやっていたら円ウルにハマってしまいまして〜。グラウルともとれそうですがね。その場合魔女は瞳子、彼はヒロト。イナズマジャパンに行くと頼むとか。
これから書きたいもの
円堂×ウルビダで何か
蓮(試練の戦いオリキャラ)ファイアードラゴン所属設定で、ファイアードラゴンVSネオジャパン