二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 忘れな草【イナズマ短編】ルカぴょんさんリク完成 ( No.21 )
日時: 2011/03/04 15:58
名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: ZgrHCz15)

きみとふたりなら

 深い森の奥だった。
 木々は、空から降り注ぐ太陽の光を遮るかのように天いっぱいに枝を伸ばし、わずかに見える青い空には数羽のすずめが舞っている。光が届かないせいであたりは薄暗く、肌寒い。地に花や草はなく、代わりに木の根元には緑のコケがびっちりと張り付いていた。

 そんな森の中を吹雪は一人で進んでいた。白恋中のジャージを纏い、木々が作る新鮮な空気を、肺いっぱいに吸い込みながら歩いていた。この辺りは木の根があちこち飛び出しており、注意していないと前につんのめってしまいそうだ。薄暗いので木の根も見えずらく、吹雪は先ほどから何回も転びそうになっていた。
 しばらくあると、木々の中に小さな泉が見えてきた。透き通った水で、底が見えている。辺りには動物がいないのか静寂に包まれている。
その泉の前に長い黒髪を持つ少女が立っていた。吹雪は少女に駆け寄りながら、大きな声で呼びかけた。

「あ! 篝」

 篝、と呼ばれた少女は、長い黒髪をふわっと躍らせながら振り向いた。吹雪の姿を見ると、双眸を緩めて、小さく頭を下げる。

「あ、士郎。待っていました」
「ここって、もうすぐ工事でなくなってしまうんだよね」

 吹雪は辺りを見渡して悲しそうに呟いた。
 工事と言っても、まだ人の手ははいっていないので、得にあらされてはいない。

「はい。でも、なくなるまえにね、士郎とここに来たかったんです」

 篝は言うと、すっと細い腕を前に差し出した。するとその手に艶やかな羽を持つ蝶が静かに止まる。
気づくと、泉の辺りには紫や緑、様々な羽を持つ美しい蝶、青い羽を持つ小鳥が吹雪と篝を取り巻いていた。小鳥は澄んだ声でさえずり始め、辺りは少し騒がしくなった。

「……かわいい人たちです」

 肩や腕に止まった蝶や小鳥たちを見ながら、篝は彼らをめでるように目を細めた。しかし、すぐに悲しそうに俯いてしまう。

「なんて、かわいそうに。命を粗末にしちゃだめです」
「……彼らも住む住居を奪われてしまうね」

 吹雪も肩に止まった小鳥を見つめながら、憤るように言った。
 小さく篝は頷き、清らかな水をたたえる泉をにらみつけた。

「ここは士郎とわたしが始めてであった場所なのに。壊されるなんて、許しません」
「大丈夫だよ」

 吹雪は篝を安心させるように笑いかける。

「ここは壊されない」
「でも、なくなるって」

 篝が強く否定し、吹雪は首を横に振る。そして、篝の手を取る。

「僕たちの思い出も、この動物たちも、みんな守って見せるよ。ふたりで、やろう」
「できる、かな?」

 篝が不安そうに尋ね、吹雪はにっこりと笑った。

「ふたりなら、大丈夫だよ」

(だってふたりのちからがあわさると、むげんだからね)

〜FIN〜
ななななんあな(自己規制)
多分ほのぼのでしょう!(おい)なんか篝ちゃんがしっかり書けていない気がするorz
ごごごごめんなさい。<エターナルブリザード>に凍らせれてきます。

春華さん、待たせておいて低クオリティですいません;;
感想をいつでもいいので聞かせてくださいね♪リク有難うございました^^