二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 天駆ける十二星座ポケモン ( No.148 )
日時: 2010/12/28 22:19
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 1Fo1.2G4)
参照: ポケモンのアレンジ曲(を聴くこと)にはまっておりますw

あらすじ
ついに乙女座ポケモンと対面した。
ただそいつは人間そっくりで…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「とりあえず、貴方が乙女座のポケモン…って事でいいんですよね?」
京が口を開く。
「そうです! 何回も言ってるじゃないですか全く」
何だかこのポケモンはやけに愚痴が多い気がする。
「まあとりあえず…バトルお願いします」
秀夜が一歩進み出る。ところが、

「私は、戦いはしません」

一瞬、耳を疑った。戦わないだって?
見た感じ、杖の攻撃が強そうだとか、エスパータイプだからとか考えていた所だったのだ。
「え…今、何て?」
秀夜は念のためもう一度訊く。
「だ・か・ら! 私は戦わない、って言ったんです! 一回で聞いて下さいよ…」
何故か逆ギレ。何だかこのポケモン、極端に性格が悪い気がする。
「貴方たちはスコーピアにテンビラルを倒しています。私はバトルは十二星座ポケモンの中で一番弱いですから、バトルをしても無意味ですし」
なんだか調子が狂う感じだ。バトル無しは確かに嬉しいが、秀夜たち六人は今日二日間一切戦ってない。
「私が君たちについていく前に、質問をします。貴方たちは何故、冒険をしているのですか?」
何を分かりきった事を…答えは一つに決まっている。
「決まってます。世界を救うため、それだけです」
「では、何故世界を救うのですか?」
何故…だって?
よく思い出してみれば、そんな事、考えた事も無かった。
「私は、人の心を隅まで読むことが出来ます。貴方の心には確かに何故世界を救うかという答えがあります。行動には目的がつき物。自分が世界を救う一番の理由を、今考えている理由を、私に教えて下さい」
秀夜が考えている事はただ一つ。世界の救世主やヒーローと呼ばれるにはあまりにも遠い理由だった。
「俺は、高校生となって、ようやく生活が充実してきました。そんな矢先、B・S団によって世界がめちゃくちゃになってしまった…。俺は、世界を救って英雄になりたいという気持ちは勿論あるけど、俺は、元の学生時代を取り戻したい。それが一番です」
ヒーローとは違う。ヒーローは世界のために動くが、秀夜は自分のため。
しかし、ヴァルニカは微笑んだ。
「その気持ちを忘れてはなりませんよ。理由がどうであれ、世界を救いたいと思う気持ちは立派です。その気持ちを忘れず、きっと、世界を救って下さい」
ヴァルニカはそう言って、呪文のような言葉を発した。するとヴァルニカが光に包まれる。
「次は獅子座に向かいなさい。獅子座はノルウェーにいます。あと、これ以降の十二星座ポケモンは大きな、または有名な建造物の近くに居る事が多いです。後は貴方たちの活躍次第。頑張ってね」
言葉を言い終えると、ヴァルニカはピンク色の珠となり、秀夜の手に収まった。
「…何か、今回楽だったな」
京がぼそりと呟く。
「ああ。でも何か色々疲れたよ」
秀夜も疲れ口調で言う。

一日経ち、朝が来た。
「じゃあ、僕はインドに戻るよ。また会えるといいな。じゃあ、頑張って」
大悟はエアームドに乗って、去っていった。
「大悟さあーん! また来てねー!」
由衣が大声で叫んでいる。
「…あ、そうだ。京、ちょっとポケモンの練習相手になってくれねえか?」
秀夜が京に呼びかける。
「あったりめえよ! 今回は全然戦ってねえからな、思い切り行くぜ?」
秀夜はニヤリと笑って、モンスターボールを取り出した。京もボールを構える。

『うむ…本来なら罰を受けてもおかしくない局面だが、チャンピオンが居たのでは仕方が無い』
モニターの男の前では、レインが土下座している。
「申し訳御座いませんでしたあ!」
さっきからもう五十回程度頭を上げ下げしているレイン。
『フン、何がお手の物だ全く…まあいい。今回は仕方が無い。ローマに留まれ。レイン、フーに伝えろ。次はお前の出番だ、とな』
ボスはレインに指示する。
「了解いたしました!」
頭を下げたまま叫ぶと、レインは走って部屋から出て行った。

第四章 完
第五章に続く