二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 天駆ける十二星座ポケモン ( No.171 )
- 日時: 2011/01/03 16:35
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: H6c/o5GF)
あらすじ
現れたのはB・S団の新たなる刺客、フー。
これまでとは違う集団戦法で秀夜たちを捕らえる作戦のようだ。
そんな中、平治が下っ端共の渦に飛び込み…
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悔しさをこらえ、秀夜は走り続けた。
平治の熱血ポケモンたちは気が荒く強いが、あの数相手ではどうあがいても勝てる確率はゼロ。
「くっそ…俺に力が無いばっかりに…」
秀夜はやっと立ち止まる。追っ手は来ない。
「おい、秀夜!」
唐突にどこからか京の声がした。辺りを見渡すと、岩の陰から手招きしている。
秀夜が岩の向こうへ行くと、そこに居たのは京一人。
「おい、誰かは知らんがもう一人はどうした? まさか…」
秀夜は嫌な予感がした。
「そのまさかだ。斬人が捕まったよ。ヘルガーを出して下っ端たちを蹴散らしてたけど、あれじゃ捕まるのは時間の問題だ」
京の声は暗かった。無理もない。
となると、あとは綾と由衣か…その時だ。
「うわあああ! 来ないでよ!」
大きく響いた悲鳴。この声は…由衣?
岩から様子を見ると、由衣が全速力で逃げている。
それにしても、軍の数が少ない。女二人だから減らしたのか?
どちらにせよ、あの程度なら三人で戦えば勝てる数だ。
「京、行くぞ。あの数なら蹴散らせる」
「はあ? 本気かよ?」
怖いのか知らないが、戦いたがらない京の手首を掴み、秀夜は京を引きずっていった。
「おいお前ら! 俺たちが相手—」
言い終わる前に、由衣が下っ端たちの方を振り向いた。
「ああっもう! しつこいのよあんたたち! 出てきて、ドリュウズ!」
何を血迷ったか、由衣は戦う気だ。頭にドリル、手には丈夫な爪をつけたモグラポケモンのドリュウズを出す。
「ドリュウズ、こいつらを吹っ飛ばすよ! 破壊光線!」
ドリュウズは大きく吼え、口から超威力の光線を放った。
一撃で四分の一ほどを撃破、光線を鞭のように操り、残りも次々と吹っ飛ばしていく。
「…」
秀夜と京は言葉が出なかった。あっと言う間に下っ端軍はどこかへ飛んでいった。
「ふう、ありがとうドリュウズ。あ、秀夜—」
由衣の表情が曇る。
「ごめん秀夜! 私、綾を守りきれなかった!」
どうやら綾も捕まってしまったようだ。残ったのは三人。
悪い事はさらに続く。岩場の上から高い声が響いた。
「そこにいましたか、残りの三人! 覚悟しなさい!」
崖の上に居たのはフー。何と高い崖から飛び降りた。
「と、とりあえず逃げるぞ!」
秀夜たち三人は走り出す。後ろを振り返ると、何とフーは無傷だ。
ただ足が痺れているようだが。
「チャンスだ、これなら逃げ切れる!」
しかし、事はそう甘くはなかった。フーは赤獅子のような威厳溢れるポケモン、ウインディに乗り、ぐんぐん迫ってくる。
ついにウインディが追いついてきた。大きくジャンプし、秀夜たちの前に降りる。
「さあ、観念しなさい。もしかしたら命は助かるかもしれません。貴方たちの頭脳を見越したボスが秘書として採用するかもしれませんよ?」
フーは勝ち誇ったような笑みを浮かべる。しかし、秀夜はあるものの接近に気付いた。
迷彩柄のジープカーが遠くから突っ込んでくる。どう見てもフーを狙っていた。
サイレンサー付きか知らないが、音がしない。車はぐんぐん迫ってきた。というかジープのサイレンサーってあるのか?
フーは全く気付いていない。
「お前たち、こやつらを捕らえなさい。早く!」
秀夜がまだ作戦を考えていると見たのか、フーが下っ端に指示を出す。ジープはすぐそこ、フーの後ろだ。
「傷つけてはいけま—ごぶぁ!」
フーが変な声を上げる。その車はフーを撥ね飛ばし、秀夜たちの前で止まった。
窓が開く。そこにいたのは先程会った人物。
「ほら、早く乗りな! 逃げるよ!」
怪盗姉妹、リオンとザンナーだった。
続く