二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 天駆ける十二星座ポケモン 第十章終了&軽いお知らせ ( No.309 )
- 日時: 2011/04/28 21:16
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 8lk4Kr5o)
第十一章
石碑を出ると、B・S団の下っ端五人がいた。
オシリスの命令で、六人に一晩過ごせる場所を与えろ、とのことらしい。オシリスはいなかったが。
とりあえず案内してもらったので、秀夜たちはそこに泊まる事にした。
中々寝心地はよく、夜になると、疲れていた秀夜たちは速攻眠ってしまった。
よく眠れたし、朝もスッキリ起きる事ができた。
もう現地の住民は解放されているはずのため、朝一で秀夜たちは南アメリカ、アルゼンチンへ向かう。
「アルゼンチンて結構遠いよなー」
京の口調はなんだかのんびりしている。
「まあ午前中には着くだろ。このボードはカイリューより少し遅い程度のスピードだし」
カイリューは地球を十六時間で一周できる。
「とりあえずいつもどおり行きましょう」
後ろから綾も声を掛ける。
六人は珍しく気軽にアルゼンチンへ。
『奴らの本拠地はまだ見つかんねえけどよ、これガセネタじゃねえのかあ?』
腕についた腕時計型電話で、ヤルタは先に現地に着いたレインと連絡を取る。
ヤルタは黄色と青を基調とした、羽無しで空を飛ぶドラゴン、ドラドーンに乗って飛んでいる。
他のものは全員ボードだ。
「先に私にそう報告したのはお前ではないか」
ヤルタは呆れたように言った。
『それはそーだけどよ、こんだけ探しても見つかんねえとなるとなあ。それに僕ちんにそれを教えたのはあのMのクソ爺だぜ』
その答えは無視し、ヤルタは、頑張れ、とだけ言って電源を切った。
『は? おいちょ、待—』なんて声が聞こえたが気にしない。
その時だ。
「ヤルタ様、誰かが南アメリカに向かっているのですよ! 六人組ですよ!」
クエストの高い声。
「何ッ?」
ヤルタはそれが誰かすぐに理解した。
(例の柊 秀夜組か…!)
事が分かればヤルタの決断は早い。
奴らはB・S団の活動を妨害している。そいつらが近くにいる。
なら話は簡単。
そいつらをこの場で蹴散らすだけだ。
「奴らを蹴散らす! 全員ついて来い!」
ヤルタは猛スピードで飛び出した。
「ところで、大悟さんいるかなあー」
秀夜は適当に呟いた。
「…ッ! だ、大悟さんッ!?」
しまった、と秀夜は思った。由衣の心に変なスイッチを入れてしまった。
「…まーでも、大悟さんたちは隠れて生活してるらしいから出会うのは難しいだろうな」
何とかごまかそうとする秀夜。由衣は意識を取り戻したようだった。
いや、大悟を意識から外せただけ、といった方が正しいだろう。
由衣は見てしまった。
後ろから向かってくる、大軍の『何か』を。
「し、しゅ、秀夜! 後ろ!」
あ?と後ろを振り向く秀夜。
そこには、大軍の人間が自分たちを追ってくる。
「くっそ、B・S団か?」
中心人物はどうやらドラドーンに乗っている男。
頭は金の鎧を被り、体はフードで隠していて、肌が一切見えない。
その人物が猛スピードで迫ってくる。
「私はB・S団第二位、称号Yのヤルタ! 今ここでお前たちを我が手で蹴散らしてくれる!」
遂に出会ってしまった。
前々から名前は聞いていた、B・S団第二位、臨時リーダのヤルタという男。
まさかこんな男とは思わなかった。だが強いというのは確か。
ここは逃げるが得策だ!
「逃げるぞ! アルゼンチンに猛ダッシュ!」
叫んだ瞬間、六人は全速力で飛ぶ。
「ふん、その程度のスピードではこのドラドーンを出し抜くことはできん」
ヤルタのドラドーンはボードより更に速い。
徐々に距離を詰めてゆく。
「あったぞ! あれがアルゼンチンだ!」
平治が叫ぶ。陸地はもう見えていた。
「もう少し、もってくれ…ッ!」
しかし、後ろのヤルタが突然叫ぶ。
「ドラドーン、龍の波動!」
ドラドーンは秀夜たちに向けて、水色の球体のブレスを放つ。
「うおわっ!」
ボードを操りながらブレスを避ける六人。下に陸地が見えた。アルゼンチン上空だ。
その時。
ドラドーンのブレスが一つ、秀夜のボードに直撃した。
ボードが傾き、秀夜は投げ出される。
「が…ッ!?」
秀夜の意識は、そこで途切れた。
どのくらい気を失っていただろうか。
だんだんと秀夜の脳に意識が戻る。見慣れない光景が秀夜の目に映る。天井だった。
(ここは…?)
秀夜は上半身を起こし、周りを見る。どこかの隠れ家のような所だった。
その時、ドアが開く。外から誰か入ってきた。
「誰…だ…?」
掠れた声で秀夜は訊く。
「お、目を覚ましたらしいな」
口調は男勝りだが、女性の声だ。
「ったく、何故貴様がここにいる。そして何故地面に倒れている。一瞬目を疑ったぞ」
その人物には見覚えがあった。
水色に染めた髪をツインテールにしている。服も青と水色が基調となっており、ピアスに指輪にネックレスと、やけにアクセサリーを多く身につけている女。
「お前は…!」
この女の名は、雪月花 梓。
B・S団がミサイルを放つ一週間前、ブラジルにホームステイに行ったはずの、秀夜の同級生だった。
続く