二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 天駆ける十二星座ポケモン 完結近し! ( No.377 )
日時: 2011/07/02 23:27
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: cebg9jtM)

Epilogue「三ヵ月後」

柊 秀夜の家では、誕生日パーティーが行われていた。
秀夜の家に来たのは、秀夜のクラスメイトの男子五人、女子三人。
その中には、帰国した雪月花 梓もいた。
「「誕生日、おめでとう!」」
秀夜の友の声が部屋にこだまする。秀夜がケーキの蝋燭の火を吹き消した。
「ありがとうな、皆!」
秀夜は笑って皆にお礼を言った。
ケーキを切り、皆にケーキを配っていく。
その時、男子のクラスメイトの一人がふと言った。
「あれ秀夜、京は来てないのか?」
そう言われてふと気付いた。京がまだ来ていない。
「そう言えば一人少ないと思ったんだよな…」「確かに京君来てないわね…?」
騒ぎ出す九人。
「せっかくだし、電話してみたらどうだ?」
「そうだな、それが一番だな」
梓の提案で、秀夜は携帯を取り出し、京に電話を掛ける。


不知火 京は宿題に追われていた。
「くっそー、うちのクソ担任め、成績が悪いからって、俺一人に大量の宿題を押し付けやがって!」
京は学年末テストでポケモン学こそ好成績を取ったが、その他の教科は壊滅的で、大量の宿題をしてくるよう言われたのだ。
「ちくしょー、今日は秀夜の誕生日パーティーだってのによー!」
怒鳴りながらひたすらシャーペンを走らせる京。
その時、京の携帯が着信音を鳴らす。京は発進元を確認し、
「おいおい、秀夜じゃんよ…」
京はうんざりしながら、電話に出る。
『おい京! どうした?』
「覚えてるだろ? 宿題がやばいんだよ宿題が!」
京が怒鳴ると、秀夜はなぜか笑い出し、
『頑張れ〜♪』
やけにウザイ口調で電話を切る。
しばし震えていた京だが、
「もういい! 宿題なんざ知ったことか! 俺は行くぞ!」
宿題を放り出し、京は秀夜の家へ猛ダッシュ。
次の日、京が先生を大目玉を食らったのは言うまでもない。


白木 綾が小説家デビューした。
世間で騒がれている伝説を基にした小説を書き、それが大ヒットしたのだ。
現役高校生の期待の新人作家として、注目されているのだ。
ちなみに、綾のデビュー作は、大体こんな話になる。
『闇の組織に支配された世界。しかし、六人の救世主が十二星座の伝説ポケモンを集め、世界を救う』話だそうだ。
もちろん、この話が実話であることを知る者はほとんどいない。
お陰で、綾が散歩していると、
「もしかして、小説家の白木 綾さんですか?」
尋ねてくる女性。綾はすっかり有名人になってしまった。
「え? あ、はい、そうですけど」
綾がそう答え返すと、
「サイン下さい! お願いします!」
その女性はどこからか色紙とマジックを取り出す。
何で持ち歩いてるんだろう、と綾はちょっと疑問に思ったが、
「はい、喜んで!
綾は微笑み、色紙に自分のサインを書く。


「テペトラー、インファイト!」
沖田 平治はポケモンの大会に出場していた。
今はその決勝戦。お互いに最後の一体となり、勝負も大詰め。
相手のポケモンはバネの様に長い足を持つポケモン、サワムラー。
「サワムラー、こっちもインファイト!」
相手のトレーナもインファイトを指示する。
テペトラーとサワムラーがぶつかり合い、お互いに怒涛の連続攻撃を放っていく。
力は互角で、お互いに一旦離れる。
「サワムラー、跳び膝蹴りだ!」
サワムラーは軽やかに飛び上がり、膝を向けて蹴り飛ばそうと迫る。だが、
「貰ったぜ! テペトラー、スフィアーロール!」
テペトラーは、襲い来るサワムラーを水で包み、高速回転させる。
そのまま、サワムラーを思い切り地面に叩きつける。
「サワムラー!」
この一撃で、サワムラーは戦闘不能となった。
「よっしゃあああ!」
平治、大会優勝だ。


月下 由衣の志望高校合格が決まった。
まだ入試には早い時期だが、由衣は推薦入試を受けていた。
作文に手こずったが、何とか合格できた。
「やった、先生! 合格したよ!」
学校に飛び込み、職員室に飛び込み、合格証を担任に見せる。
そんな由衣と合格証を見て、先生は微笑み、由衣の頭を撫でる。
ちなみに、由衣が入学した学校は、ポケモン学に優れる高校だった。
もちろん、由衣がその学校を選んだ理由は一つ。
「この学校でポケモンバトルをもっと学んで、卒業したら峰遠地方に行くの。そして、大悟さんを倒すんだ!」
由衣の大悟愛は全く変わっていなかった。


右腕は失われていた。
左足は義足だった。
ザント、いや、黒星 斬人は、やっと生まれ故郷に戻ってきた。
斬人の生まれ故郷は小さな村だった。
その時だ。
「見つけましたぞ、ザント様!」
斬人を呼ぶ声。振り返ると、B・S団のボードが二十三機。
斬人を呼んだのは、ヤルタだった。
「ザント様!」「良くぞご無事で…!」
ボードから下りるなり、ほとんどの者が斬人に抱きついた。
トロピカルなどは足が動かず、感動のあまり地面に座り込み、泣き出してしまった。
ようやく収まった時、ヤルタが前に出る。
「ヤルタ。俺のいない中、よくこの人数をまとめておいてくれたな」
斬人は笑顔でヤルタに言った。
「大変でしたが、皆で協力して、何とかボスを見つけることが出来ました。しかしボス、その腕と足は…」
「ああ、これならもう慣れた。気にすることはない」
斬人を気遣うヤルタに対し、斬人は優しい口調でそれを制する。
「B・S団のボスは、お前に譲る」
斬人は静かに言った。
「俺はこの村でやるべき事がある。お前ならB・S団のメンバーをまとめてくれるはずだ。これからは、世界の平和を裏で守る裏組織として活動するんだ。頼むぞ」
その言葉に、ヤルタは無言で頷き、敬礼した。
B・S団の者たちもすぐさま敬礼する。
「ではさらばだ! お前たちとの生活、楽しかったぞ!」
斬人は二十三人に手を振り、村へと歩いていった。


六人の頭上には、虹が世界を救ったお礼を言うかのように、美しくアーチを描いていた。


天駆ける十二星座ポケモン 完