二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *小さな初恋* 【イナズマイレブン】 ( No.7 )
- 日時: 2011/08/04 19:08
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: Va4IJVQE)
第三話【中学生の一人暮らし】
新しい家に荷物が届いた。ここは、小さいけれど新しいアパートの一室。大家さんは、優しそうなおばあさんだった。東京に住んでいるお孫さんと私は同い年らしく、かなり親切にして貰った。挨拶の帰り際に貰ったリンゴアメは今、口の中でゆっくりと溶けている。うん、甘くて美味しい。今日から一人暮らしだけど、荷物は結構多くって。今までも一人暮らしみたいな生活を続けてきたから、家事は問題ないと思う。
ただ、気がかりなのは、フランスで仕事を続けているお姉さん。今までは、私がお手伝いしてきた……というか忙しい彼女の代わりに私がやっていたから、大丈夫かな?
"お姉さん"は、本当の姉妹じゃない。お母さんの妹で、実際は私の叔母に当たる。身寄りのいない私を引き取ってくれていたけど……あぁ、心配になってきた。まあでも、あと二ヶ月もすれば仕事も一区切りついて日本に帰れるらしいけど。
それでも、その二ヶ月間、お姉さんが一人で料理ができるか不安だけど。だからって帰る訳にもいかないし。どうしても故郷に来たかった。四年間待ち続けたのに、これ以上待ってたらおばあちゃんになっちゃうもん。
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白恋中の制服を着てみる。全身鏡の前に立って、クルリと一回転してみた。ふわりとスカートが膨らむ。さすが北の街、北海道。防寒がしっかり出来ていて、とても暖かい。これを着て明日、初登校するんだ。
静まり返った部屋。シャンソンのCDを流しながら、鞄に教科書などを入れていく。何気ない行為だけど、何故か心が弾んだ。
来る前は、とっても不安だった。けど、ここまで来るとこれからの生活に不安も心配もしてられないのかも。
「お母様……どうか、桃花をお守り下さいね」
薄い淡紅色に染まった雲を眺めながら、高く浮かぶ空に、にっこりと笑いかけた。