二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: *小さな初恋* 【イナズマイレブン】 ( No.11 )
日時: 2011/02/11 14:04
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: eMRX3Yay)



 第七話【ただいま】

 各教科の授業を受ける度、先生に名前を聞かれ、少しばかりくたびれた放課後の事。珠香ちゃんが連れてきてくれたのは、サッカー部の部室らしい。また自己紹介をしなくては。

「みんな〜!!転校生が見学に来たよっ」
「あ、あの……」

 そこには、サッカー部員さんと思われる方達の姿が。部活が始まる時刻まで、あと十分くらい余裕がある。だから、楽しい話に花を咲かせていたみたい。

「おぉ、噂の女の子か」
「女の子!?やった〜三人に増えたよっ」
「雰囲気が帰国子女っぽいね……」

 一斉に話しかけられると、どうすればいいのか接し方に困る。しかも、入部決定みたいな雰囲気になってるよね……?でも、拒否するような態度を取る人は、いなかったし、良い人たちかも。

「……サッカー部入部希望の春崎桃花です。見学させて下さい」

 緊張で噛みそうになったけど、言い切ることは出来た。……震えていたけどね。今日、何度目かの自己紹介を終え、部長さんにも挨拶しなくちゃという思いに駆られる。

「えっと、部長さんは……」
「どこに行っちゃったのかな?入部希望者が来たって言ったら吹雪、絶対喜ぶと思ったのに」

 しかも女の子っと男の子は、付け足した。部長さんの名前は、ふぶ……吹雪?もしかして、吹雪士郎とかじゃないよね……

「"吹雪 士郎"、すごくサッカーが上手いんだ」

 ……どうやら、予感的中のようです。

**

「もう、どこ行ったの……?」

 驚きのあまり部室を飛び出してから、結構な時間が経った。でも、なぜだろう。校舎内を探していたはずなのに、昇降口に来ちゃったし。仕方ない。外も探してみよう。走り回ったせいで鼓動は速いし、呼吸も乱れた。ゆっくりと身体を落ち着かせながら、靴に手をかける。……が、

「あれ……」

 目の前が暗くなる。誰か、生徒が入ってきたみたい。邪魔にならないように早く行かないと。

「ゴメンなさ……」
「桃花?」

 優しげで穏やかな声。懐かしい温もりを感じさせる声の持ち主は……"士郎"

「……桃花」

 士郎は、もう一度確かめるように私の名前を呼んだ。突然すぎて脳内がプチパニックになる。でも、会いたかった人にようやく会えて……嬉しさがこみ上げてきた。

「何で……桃花は……」

 やっぱり士郎は、昔のことを怒っているのかな?ううん、怒って当然だよね。謝らないといけないんだけど、こんな事考えちゃうなんて可笑しいんだけど、溢れる想いは押さえ切れなくて。

「ただいま、士郎」

 ずっと言いたかった台詞を、やっと伝えることが出来た。