二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: *小さな初恋* 【イナズマイレブン】 ( No.14 )
日時: 2010/11/27 09:35
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: /xNuE/4m)

 
 第九話【昔のままで】

「「えぇぇぇ!?幼馴染なの!?」」

 ひとまず、桃花を連れて部室へ戻った。
 さっきまでの泣きそうな顔は、何処へやら。今は、僕の隣で"にこにこ"とはにかんでいる。まぁ、哀しそうな顔されるよりは、よっぽど良いんだけどね。

「小学校低学年くらいかな?」
「多分ね。三年生になった進級式には、来てなかったと思うから」

 納得した様子の一同。

「じゃあ、桃花ちゃんと吹雪くんは…ずっと前から仲良しなんだ!!」

 紺子ちゃんが、大きな声で会話に混ざる。紺子ちゃんって初対面の前でこんなに明るく振舞える子だっけ?
 でも桃花は、誰に対しても優しいから…仲良くなってても可笑しくないか。

「それでサッカー部に入部したいの?」
「そういう訳では…士郎がサッカー部だったなんて、知らなかったし」

 珠香ちゃんが桃花を質問攻めに…あれ?珠香ちゃん今、何て言った?

 『それでサッカー部に入部したいの?』

 桃花がサッカー部に入部、する……?

「ほ、本当に!?」
「え…どうしたの、士郎」

 パニック状態な僕に、のんきに微笑みかける桃花。マイペースなところも昔から全然、変わってないな。
 …じゃなくって!

「サッカー部に入部する…の…?」
「部員さんたち、みんな優しいから…入ってみようかな」

 刹那、僕は心の中でガッツポーズをした。
 ただでさえ部員が少ないサッカー部に新しく部員が増えて、ましてや桃花が!!手当てとか上手だったし、何より近くにいてくれる事が嬉しい。

「ありがとう、桃花」
「私こそ…お世話になります、キャプテンさん」

 …大切なひとが、昔のように僕の隣にいてくれる。あの事故以来、大切な人を失ってしまった僕。僕の心を暖めてくれる存在が帰ってきたんだ。
 首に巻いたマフラーを、右手でそっと握る。

(アツヤも…嬉しいよね)

 小さく問いかけてみた時、マフラーがゆらゆらと靡いた気がした。
 FWもこなせるようになった僕を見て、桃花は何て思うのかな。やっぱり…アツヤを思い出すんだろうけど。

「まだ、入部届け出してないけど…マネージャーとして参加するね」

 暗い気分を振り払ってくれた桃花の笑顔。桃花がいなくなってから…色々なことがあったな。
 雪崩で家族を失って、ひとりぼっちになって…それでもサッカーは、止めなかった。止められなかったんだ。…大好きだから。
 僕を取り巻く環境も、当たり前だと思っていた日常も全部全部、変わってしまった。だけど、

 ——キミの笑顔の暖かさは、今も昔も変わらないね。

 変わらないでいてくれて、本当に良かったです。