二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *小さな初恋* 【イナズマイレブン】 ( No.166 )
- 日時: 2011/04/15 12:53
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: l6KRDtx2)
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第五十一話【皆さんを信じて】
急いで向かった漫遊寺中のグラウンド。彼等は、確かにそこにいた。勝負を受けない漫遊寺イレブンに対し、酷い言葉を放っている。でも私は、そんな会話に集中することができなかった。私の中で生じた疑問が思考を独占し、他の事を考えさせてくれる余裕を与えてくれない。エイリア学園が悪いことをしてきたのは、充分承知している。雷門中のように学校を破壊されたところや、怪我を負った人がたくさんいるのもわかっている。サッカーを愛する気持ちを、否定されたことも。けど、それ以前に問題があると思うのだ。
それは、エイリア学園の真の姿について。何故、彼等がいきなり破壊活動を始めたのか、理由があるに違いない。けれどそれを知るためには、次々と現れるサッカーチームを倒さなければならない。そのために私は、キャラバンに乗ったのだから。だけど、相手には相手の言い分もあるはずだし。言葉で和解とかは、無理なのかな。別に相手は、火星語とかを遣って話しているわけではないのだから。
「桃花さん」
「は、はいっ!」
瞳子さん……じゃなくって、監督さんの声を聞くと、自然に背筋が伸びてしまう。私、瞳子さんのこと、どう思ってるのかな? 怖い人って思ってるのかな? うーん、いまいちわからない。
「今日の試合、貴女を出すつもりはないから」
え? と聞き返すよりも先に、円堂くん達のほうへ歩いていってしまった瞳子さん。私じゃ、役に立てないってことなのかな。そう考えると、どうしても自己嫌悪気味になってしまう。ああ、私って本当に弱虫だな。どうして、次頑張れば大丈夫! って思えないのかしら。やっぱり、本質がネガティブだからなのかな?
「……じゃあ今日は、皆さんを精一杯、応援しないと」
左手で拳を握り、胸の前でガッツポーズをする。第三者目線で試合を見れば、新たな発見があるかもしれない。それで少しでも、皆さんのお役に立てれば。試合に出れなくても、皆さんとフィールドで戦えなくても、私にだってできることがあるはず、だもんね。よしよし、この意気で頑張らないと!
人間離れしたオーラを放つイプシロンを一瞥すると、ベンチへと向かっていった。皆さんなら、大丈夫。この言葉を、信じながら。私はまだ、知る由も無い。この試合が終わる頃、否、もう始まる前から、
————大切な人の運命が、大きく狂い始めることに。