二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *小さな初恋* 【イナズマイレブン】 ( No.26 )
- 日時: 2010/12/04 13:28
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: ja6QJnOq)
第十二話【女の子なりの気遣い】
綺麗な夕焼けが、北海道の薄水色の高い空を橙色に照らしていく。部活動終了時刻五分前、どこの部活も片付けに大忙しだった。それは、サッカー部も例外では無い。
「あの、私にも手伝える事があったら…」
「ダ〜メ!!桃花ちゃんは、そこで待っててね」
「…でも、」
「大丈夫だから、今日は見守ってて!…ね?」
今、私がお手伝いを始めたら強制的に座らせられそう。それに、迷惑かけたら…もっと失礼だもんね。今日は、皆に甘えて見守る事にした。
それにしても…士郎のさっきのプレイが頭を離れない。どうしてもアツヤとしか思えなくって。思考の中で重なった、今の"士郎"のシュートと過去の"アツヤ"のシュート。似ていた。似すぎていた。あまりにもそっくりで思考が追いつかないほどに。
「皆、お疲れ様でした!!」
「「お疲れ様でしたーッ!!」」
ぼーっとしていた私の耳にサッカー部の挨拶は、全くと言っていいほど届いていなかった。考え事をしていると、周りが見えなくなってしまう。これも私の悪い癖の一つ。足元をじーっと見つめながら、あれこれと士郎のサッカーについて考えていた。
途端、膝の辺りに差し込んでいた日差しが切れた。暗くなった目の前に少しばかりの疑問を抱く。けれど、その疑問はすぐに解決された。
「一緒に帰ろうよ。送っていくから」
銀色の髪が夕陽で薄っすらと淡紅色に色づいていた。逆光で黒っぽく見える表情も、さすがは士郎。怖いとは感じない。むしろ幻想的で、大人びて見える。
見惚れていた私は、返事をすっかり忘れていた。首と小さく傾げた士郎を見て、はっと思い出す。
「いいな〜…私も桃花ちゃんと帰る!」
「紺子ちゃん、それは明日にして今日は私と帰ろ!!」
四人で帰ろうよ。そう提案しようと思ったのに、珠香ちゃんに遮られてしまった。そのうえ何故か、珠香ちゃんにウインクをされる。そのやり取りを呆然と見つめていた紺子ちゃんも、大切な事に気づいたかのように「あっ」と声をあげた。
「そ、そうだね…じゃあ桃花ちゃん、明日は皆で帰ろうね!」
「二人が大丈夫なら、折角なんだし皆で帰ろ…」
「「ばいばい!!また明日ね〜」」
息ピッタリな二人は、そそくさと正門へ向かって走り出してしまった。この距離じゃ、引き止める事も出来ない。しばらくの間、私たちを沈黙が襲った。どうしよう…どう言って話を切り出そう?
先に沈黙を破ったのは、士郎だった。
「じゃあ…帰ろうか」
帰る途中にでも話してもらえばいいよね。
マイペースな私の心は、大切な話よりも二人で歩く帰り道を選んだ。