二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *小さな初恋* 【イナズマイレブン】 ( No.31 )
- 日時: 2010/12/21 19:46
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: kKmRLwWa)
第十五話【平和な生活】
「それでそれで!!二人で何を話してたの?」
「やっぱり…幼き日の懐かしい思い出、とか?」
珠香ちゃんと紺子ちゃん。朝の第一声は、教室中に響き渡った。多分、二人が私に対して聞いているのは、昨日の帰り道の事だと思う。お姉さんが言っていたけど十四歳の女の子は、そういうお話が大好きなんだって。好きなのが当たり前の、そういうお年頃なんだって。
それを理解した上で、返事に困る。
「えぇっと…まぁ、久しぶりだねーって、」
「本当に?それだけですか?」
「…他にも色々と話したけど、」
「それそれ!!その色々が聞きたいのっ」
結局、昨日は士郎じゃなくて…もう一つの人格である"アツヤ"と話して終わっちゃったから。思いのほか平常心を保てた私は、違和感無く会話が続いてしまい。家に着いてから士郎に悪かったな、って思ったんだけど…電話するのも少し気が退けたから。明日、謝ろうと考えて今に至る。
「人には、言えない事〜?」
楽しそうに微笑みながら聞かれても、士郎と話したのはアツヤの存在についてくらいだし…皆に言ってもますます複雑になっちゃうだけだもんね。悪いけど、黙ってるしかないな。
「…秘密」
「えーっ!?…桃花ちゃんのケチっ」
頬を膨らませる珠香ちゃん。がっかりそうな紺子ちゃん。…あぁ、やっぱり罪悪感が。
ゴメンね、と言おうとしたら教室の扉があく音に遮られた。一斉に視線は、扉へと集中する。そんな中、のんびりと入ってきたのは士郎だった。友達に挨拶をしている最中、私に気づいた士郎は、にこっと笑った。返事代わりに私も微笑み返す。
「心が通じ合ってるんだね〜いいな〜」
「そういうのじゃ無いんだけど…」
笑ってくれた士郎を見て私は、ほっと胸を撫で下ろした。怒ってたらどうしようって気になってて。士郎は優しいから大丈夫だよ、と思う自分と、やっぱり怒るよね、という自分が半分ずつ。
士郎が温厚な性格で良かったと改めて思う。
「昨日は、ゴメンね。大丈夫だった?」
「うん。少し驚いたけど、士郎が気にする事じゃないから」
士郎の青い瞳が、安心したように細まる。やっぱり士郎は優しいな。小さい頃からずっと一緒、変わらないでほしかった士郎の良い所。なんだか…安心したな。
「私、白恋中に来れて本当に良かった」
純粋に感じた想い。お姉さんと過ごしたフランスも大好きだったけど、士郎のいる白恋中も好き。心が安らぐというか、何と言うか…やっぱり、大好きなんだよね。
「私も、桃花ちゃんに出会えて本当に良かったよ!!これからも仲良くしようね!!」
にこにこの珠香ちゃんと、隣で頷く紺子ちゃん。士郎も薄っすらと微笑んだ。素敵な人たちに囲まれた生活を送れるなんて…私は本当に幸せ者ですね。お母様…
私は、これから始まる白恋中生活に思いを馳せていた。
——平和な日々が送れる事を信じて——
私が思っていた程、時間はそう簡単に過ぎ去るものでは無かった。これから、私と士郎。そして…新たな仲間たちとの出会いで運命は、大きく動き始める…——