二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: *小さな初恋* 【イナズマイレブン】 ( No.33 )
日時: 2010/12/30 19:22
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: eMRX3Yay)

  第十七話【キャプテンのお客様】

 白恋中では無いジャージが、部室にたくさん入って来ていた。ここら辺の中学校の人たちなのかな。でも、"雷門中"って初めて聞いたんだけど。サッカー部に来てるって事は、その雷門中のサッカー部さん?今日は、練習試合の日だっけ?ううん、絶対に違う。いくら私でも、そんなに大きなイベントは覚えていられるもん。でも、珠香ちゃんや皆の反応を見ると、知ってる人たちみたい。やっぱり、近くの学校?

「あの雷門中がうちの学校に来るなんて…本当、夢みたい!!」
「うわぁ…あ、握手して下さいっ」

 まるで有名人の様な扱い。サッカーが強い強豪校なのかな。それで、とても有名なのかも。マネージャーとして、そういう事も勉強しておけば良かったな。…まるで話が解らない。

「…雷門中さんって、有名なの?」

 近くにいた喜多海くんのジャージを引っ張る。引き留めたら悪いのは、解ってるんだけど…聞かずには、いられなくて。喜多海くんなら優しいし、許してくれるよね。
 そんな喜多海くんは、この質問を聞いたとき驚いた顔をした。そして、急に納得した表情に戻る。

「雷門中サッカー部は、FFの優勝校なんだ」
「フットボールフロンティア…大会か何かなの?」

 今度は、その雷門中の人たちが口をあけていた。そんなに有名な大会なのかな?あの人たちは、サッカー部のマネがそんな事も知らないなんて、という思いなんだろう。だって、顔からして見え見えだもん。

「中学生サッカーの日本一を決める大会だよ」

 日本一。全国大会なんだ。その大会の優勝校…嗚呼、だから興奮していたんだ。士郎も居たら良かったのに、その部長さんは帰って来ないんだから。

「"吹雪 士郎"くんは?何処にいるの?」

 さらさらの髪を靡かせて、一歩前へ出た綺麗な女性が言った。あまり愛想は良くないみたい。覚えている限り、この人は表情を変えていない。
 その間にも、皆は士郎の居場所を自由に呟く。

「スキーをしてるんじゃないかな?記録を伸ばしたいって言ってたし」
「やっぱり、ボブスレーじゃない?スピードを速められる練習してるみたいだもん」
「スケートだよ!!三回転半ジャンプが跳べるようになったって、喜んでたよ」

 スポーツ万能なのは昔から知っていたけど、中学生になってから、さらに磨きが掛かったみたい。私が知らない物にまでチャレンジしている。なんだか、すごいな…

「そんなに運動神経抜群なのか?"熊殺しの吹雪"って」

 熊殺しの吹雪。これも士郎の異名だった気がする。色々とありすぎて覚えきれないな。
 その時、廊下の方から足音が聞こえた。こっちへ向かってくる。知らない人ばかりのこの部屋から逃げ出したくて、とりあえず扉を開いた。

「ゴメンゴメン、遅れちゃったよ…って桃花、どうしたの?」
「士郎にお客さんが来てるの。…知らない人ばっかりで」

 人見知りの癖、変わってないんだ。困ったように士郎は笑う。笑ってる場合じゃないのに。早く部室に入って来るように催促すると、また笑いながら扉を開いた。

「僕にお客さん?」
「…って、あぁぁぁぁ!?お前、さっきの!!」

 "さっき"って、どういう事なのかな?私の思考、今日は何だか忙しいです。