二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *小さな初恋* 【イナズマイレブン】 ( No.34 )
- 日時: 2010/12/26 19:44
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: eMRX3Yay)
第十八話【訪れた理由は】
雷門中の皆さんと会話している士郎。詳しくは、解らないけれど…皆さんの危機を偶然、遠くまで来て固まっていた士郎が助けたみたい。人助けで遅くなったのなら良いかな、と思ったけれど、用事も無いのに遠くまで行っていた士郎の思考回路が理解できない。部長さんならきちんと皆をまとめて貰わないとね。
「私が、雷門中サッカー部の監督…"吉良 瞳子"です」
さっきの女性が自己紹介をしてくれた。今日、白恋中の監督は、会議があって来られないって言ってたんだけど…士郎は、知らないみたい。監督、呼んで来るね、なんて言ってしまっているし。この事を聞かされたのは、私しかいないのかな?
「あの…今日、監督は用事で来られないんです。代わりと言っては、何ですが伝えたい事があるのならば私に言って下さい。内容によっては、この場に監督を呼んできますが」
そう言うと、オレンジ色のバンダナを付けた——さっき、士郎を見て大きな声で叫んでいた男の子が、スッと一歩、前へ出た。そして、右手を差し出される。
「俺、円堂守!よろしくなっ」
にかっと彼は、微笑んだ。普通は、士郎に挨拶するのが妥当だと思うけど、私が"監督代行"です、みたいに紛らわしい事を言ってしまったからなんだよね。
「白恋中サッカー部のマネージャー、春崎桃花です」
笑いかけると円堂さんはもう一度、笑った。元気な人だな、と思う。驚いたり騒いだり、笑ったり…でも、悪い人だとは思わない。むしろ、好印象だな。
でも、どうしてその雷門中が白恋へ?
「あの…雷門中さんのご用件は?」
「私達は、吹雪くんの実力を確かめさせて欲しいんです」
実力を?白恋イレブンにも、当の本人にも、私自身にも疑問が残る。それだけの為に北海道へ?今の話だと…雷門中は、東京の学校だって聞いたけど。わざわざ士郎をスカウトする為だけに白恋中へ?全員を率いて?
「何の理由があって、ですか…?」
刹那、監督さんの表情に影が落とされた。言い難い事なんだろうか。もしそうならば、私は無理に聞いてはいけない。本当に士郎を連れて行こうとした時に…聞けばいいんだから。でも、スカウトなのかな?もし、本当にスカウトされて東京に行っちゃったら、寂しくなるな…
「無理にとは、聞きません。また、別の機会にでも話して下されば結構です」
「…有難う、桃花さん」
ほんの少し、瞳子さんは安心したように微笑んだ。気のせいかもしれないけど、絶対にさっきよりは、表情が柔らかくなっている。が、一瞬で先程と同じように、凛とした表情に戻ってしまった。
「我々、雷門イレブンは…白恋中サッカー部に試合を申し込みます」