二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *小さな初恋* 【イナズマイレブン】 ( No.48 )
- 日時: 2011/01/14 18:47
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: eMRX3Yay)
第二十六話【Geministorm*双子座の嵐】
目の前で行われる紅白戦。レベルが高いメンバーの中でも、士郎のスピードは一番だった。追いつけている人は、いない。一番近づけているのは、水色ポニーテールさんぐらいだろう。あの人が雷門の中で一番だったのかな。まぁ、士郎の速さは、そう簡単に抜けるものではないから、しばらくは士郎が一番かな、なんて。
「あ、あの……」
寒さ対策の為、ジャージを着ていた私。チャックを閉め終わる頃に、声を掛けられた。声色からして相手も緊張している。確か、この人たちは……
「私たち、雷門中のマネージャーなんです!初めまして、桃花さん」
「はい!初めまして」
コートを着込んだ三人組。秋さんと夏未さん、春奈さんは、FFの頃から雷門イレブンを支えてきたらしい。やはり、どんなチームにも支えは必要なんだよね。私は、白恋中の力になれるのかな。今、目の前にいる三人の如く。
「それにしても、桃花さん。サッカー上手だったね!」
「そうですか?……皆さんに比べたら、まだまだですよ」
「女の子なのに上手なんて、憧れちゃいます!」
「ヴァイオリンも素敵だったし……器用なのね」
他愛も無い会話を交わすうちに、どんどん三人に引き込まれていく。今まで雷門で起こった事件やFF裏話。ついでにFFの説明もしてくれた。優しい人たちで良かったなぁ。話し易いもん。
でも、一番良かったのは、エイリア学園について聞けたことかもしれない。
「雷門中も……破壊されたんですか?」
「えぇ。傘美野中もやられてしまったの」
日本一の雷門中でさえ倒せなかった相手。それが、宇宙人……——エイリア学園なのだ、と。
ふと顔を上げると、しんみりとした雰囲気が漂っていた。やはり、悔しかったんだろう。自分達の学校を守りきれず、仲間が傷つくのを見ていることしか出来なかった、あの試合が。私も力になれるのならば、三人の為にも、白恋中の皆の為にも、地球の未来の為(?)にも、頑張らなくてはいけない。
「ジェミニストーム、でしたっけ」
英語だと前提して考えるとGeministorm、つまり"双子座の嵐"になる。双子座と宇宙を絡ませてきてるんだから、宇宙人のわりには地球の言葉を理解してるのね。
「私……絶対に倒してみせますから。だから、哀しそうな顔はやめて下さい。選手の皆さんが、心配しますよ」
そっと微笑みかけると、ようやく瞳から哀愁の色が消えた。フィールドからでも、ベンチの様子は伝わってくる。マネージャーさんがポジティブでいてくれないと、プレーヤーにまで不安が募るから。
「ありがとう、桃花さん」
やっと光が戻った三人。今、ここで後悔していてはいけない。これからの戦いに向けて、一秒の時間も無駄には出来ないってことなのかな。
「桃花ーっ!!手伝ってーっ!!」
フィールドから声が聞こえる。士郎のものだということに間違いはないんだけど、いきなり何を手伝えばいいんだろう。
きょとんとしている私を察したのか、いきなり両手で何かを表し始めた。でも、さっぱりわからない。でも士郎は、伝わった気でいるようで。描き終わると、にこっと笑った。
「風になる練習!」
その場にいた全員が考え込む中、士郎の意図が伝わった私は、こくんと頷いた。