二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: *小さな初恋* 【イナズマイレブン】 ( No.60 )
日時: 2011/01/23 21:06
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: eMRX3Yay)
参照: 参照500突破、ありがとうございますっ!!

  第三十話【雷門のエースストライカー】

 瞳子さんとマネージャーお三方の横に並んで、ゲレンデの上から皆さんの様子をぼんやりと眺めていた。最初は、あんなにふらついていたけど、今ではもう立派にスノボを操っている。きっと周りの風景もはっきり見えているんだろう。更なる戦力アップに間違え無し、かな?
 染岡さんも皆に馴染んでいて、良い雰囲気だし……でも、染岡さんがスノボを始めた理由って、士郎に負けたくないからなんだよね。エースストライカーの座は、渡さないとかなんとか。男の子って、そういうのに拘るのかな?あとで士郎に聞いてみよう。
 が、帰ってきた士郎に真っ先に話しかけたのは……他でもない染岡さんだった。

「吹雪! 俺と勝負しようぜ」
「……勝負?」

 染岡さん曰く、この特訓で得た実力を士郎相手に試したいんだとか。拒んでいたのに、もうライバルになってる。男の子ってこういう雰囲気が良いよね。気付いたら、ライバルなんて。女の子は、そう簡単にはいかないもの。

「つまり、雷門のエースストライカーを決めるってこと?」

 士郎もいつになく乗り気だった。"エースストライカー"という響きに魅力でも感じているのだろう。普段は穏やかな瞳が、どこか爛々としている。自信に満ち溢れているようにも受け取ることができた。
 染岡さんも同じみたい。初対面の時のような蟠りは、一切ない。そこには、純粋にサッカーで自分を試したいという一人の少年の姿があった。嗚呼、本当に良かった。意外とこの二人……良いコンビかもしれないね。

「そう思って貰って、構わないぜ」

 彼のこの一言に刹那、士郎の瞳の奥が橙色に煌いた気がした。


*。+*。+


 何故かボールとホイッスルを持って、校庭にたたずむ私。どうやら、私の合図が勝負の幕開けを告げることになるみたい。結構、大役な気がする。と言うか、マネージャーがやる仕事に入るのかしら?こういうのって監督である瞳子さんが行うんじゃあ……

「春崎!頼んだぜっ!」
「は、はいっ」

 低い声に後押しされて、しぶしぶながらホイッスルを銜える私。二人の熱い視線が、私の手にのったサッカーボールと絡まり合う。そして、お互いにもぶつかりあった。敵同士ではなく、良い"ライバル"に対して牽制するかのように。周りの様子を確認したあと、私は緊迫した雰囲気の中、スゥッと息を吸った。そして……———静寂に包まれた校庭で、二人の少年等が"ライバル"としてぶつかり合う。


 ——さぁ、エースの座を勝ち取るのはどちら?