二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *小さな初恋* 【イナズマイレブン】 ( No.87 )
- 日時: 2011/02/25 18:14
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: 8pbPlA7p)
第三十八話【涙の種から、咲く笑顔】
片づけが終わった室内。一通り見渡す前に、私はベッドへダイブした。ふかふかの布団に顔を埋め、しばらくぼーっとしてみる。未だに消えない疲労感を背負いながら、体をよじり、天井へと視線を向けた。真っ白な天井。疲れた脳を癒してくれるものは無いのかと、答えが返ってこない疑問を抱いた。
ジェミニストームとの戦いは、終わった。それは事実、だけど。
「……"イプシロン"、か」
エイリア学園ファーストランクチーム。そう、ジェミニストームはセカンドチームだった。つまり、レーゼたちよりも強いに決まってる。彼等は、次に破壊する学校を指定した。京都にある漫遊寺中。次にホイッスルが鳴り響くフィールドは、そこなのね。
二週間とちょっと。それが、私が白恋中で過ごした時間。長いように思えて、とてつもなく短かった。いや、実際には、こんなことに巻き込まれるなんて思ってなかったもん。だから、急すぎると言うか、何と言うか。二週間で北海道を去るなんて、予定帳に記入してあるわけないでしょう?
「士郎と一緒に全国を回って、地上最強のチームの一員となり、エイリア学園を倒す。それが、私の使命……」
もし、そうだと言うのならば。
夢物語のような、有り得ないこの現実が本物で。信じられない。信じたくないけれど、現実なんだよと言われたら、これはもう事実なんだ。運命なんだ。使命なんだ。選ばれたのは、私。巻き込まれたのも、私。私が引き寄せた運命。この戦いが、選手たちを傷つける旅になろうとも、損傷を受けるのは、私。他の誰でもない、……春崎桃花。もし誰かが涙を流すのならば、私がこの運命を受け入れ、その人を笑顔にしなければならない。それがきっと、正しい選択なのだから。
だいぶ難しい話になってきたけれど、明日、私は北海道を発つ。帰りの予定など無い、長くなるであろう旅の一員になる。力になりたくてもなれない。そんな人たちから見たら、私は酷く羨ましい立場、環境にある。そう考えたならば、精一杯、戦い抜かなければならない。……私がネガティブになっちゃだめ! 私が未来を救うの。それでいい。傷つく人が、一人でも減るように。一粒の涙が、嬉々とした笑みに変わるように。雷門イレブンが、イナズマキャラバンが、無事に旅から帰ってきて、サッカーが楽しいスポーツへ戻ることを、信じてくれる人のために。
いつだったか、私の大切な人たちが、私を守ってくれた、あの日のように。私は、大切なものを守りきれる。そんな強さを見につけ、皆を守る。——もう二度と、"アノ日"の二の舞は起さない。
でも。
「強さの代償が、大切なものだとしたら……次は何を、失えばよいのですか?」
疲れからか、閉じかけた世界。最後に映し出されたのは、失くしてしまった、消えてしまった、大好きだったあの笑顔だった。