二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【刀語-カタナガタリ-】 花は舞う ( No.5 )
日時: 2010/12/01 08:55
名前: あずさ (ID: FEqFrkLe)

この様に更新スピードは遅いので、それを覚悟でお願いします!!

         -プロローグ-

それは、雪が降る日の事だった。
祖母と共に幕府に報告をしに行っていた少女は、悲鳴を聞いた。

「だ…だれか!助けてくださいっ!」

「…祖母様!今のは…」
「人の悲鳴だね。行こう」


聞こえてきた声をたどって走って行く。
そこにあったのは、女性が倒れていたのと、雪の上に広がる血だった。
少女と祖母は息をのむ。

「一体だれが…!?」
「!!祖母様!後ろ!」


ゴツンッ…と嫌な音がして、祖母は倒れた。
祖母の後ろに立っていたのは、一人の男だった。
体格的に男なのだ。覆面をしているので顔は見えない。

頭から血を流して倒れている祖母に少女は駆け寄った。

「祖母様!!祖母ッ…!」


次の瞬間、少女の頭の中で何かが弾けた。
どさりと少女は倒れ込む。
数秒後、腹を裂かれたのだと自らで気がついた。

「ククッ…」


笑って去って行った男を睨みつける。
その後ろ姿が消え去った後、祖母に地をはいずりながら近寄った。
かろうじて生きている。うっすらと、祖母は目を開けた。

「…行きな、さい…。置いて…」
「無理です…!」
「まだ動く気力はあるでしょう…ッ!行きなさいっっ!!」


少女は息をのみ、ゆっくりと立ち上がった。
ただ、生きたいと言う気力だけで動いた。
涙を流しながら、痛みと、辛さをこらえながら。
後ろでは祖母がゆっくりと目を閉じながら微笑んでいた。

「ごめんなさい…ごめん…なさい…ごめんなさいっ…!!」


———サヨウナラ

最後にそう言って、少女はそこから姿を消した。
少し進んだ所で、少女は空を見上げた。
雪が顔に降り積もるかのように冷たかった。
少女は目を閉じた。

「…たす…けて…しにたく…ないよ……」


呟きながら苦笑する。涙が静かに流れて、雪の上に落ちた。
浮かぶのは、家族の顔。
そして行けと言ってくれた祖母の顔。祖母の、笑顔。
思い出したら、さらに涙が出てきた。

「………くない…」


少女は呟いた。
ゆっくりと体が倒れる。

「助けて…助けて!!死にたくない!!まだ…しにたくない!!」

死にたくない。死にたくなかった。
叫んだのが意識の限界を超えさせた。

プツリと意識が切れかけた。
そんな時、足音が近づいてくるのが聞こえてきた。


「!!糸薗様!!」

叫び声を聞いたか聞いていないか分からないうちに、少女の意識は途切れた。