二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【刀語-カタナガタリ-】 花は舞う ( No.6 )
日時: 2011/01/08 19:51
名前: あずさ (ID: OK6L9khJ)

    -01輪-

トタトタと明るい足音。
水色の髪をした少女。その足は玄関に向かって超特急だ。


「お姉さま!!お姉さま、お帰りなさいませ!!」

戸口から入ってきた少女の姉に、少女は飛びついた。
反動で姉は後ろ向きに転んでしまった。


「った〜…コラ、糸薗!飛びついてはいけません!!」
「はーい。すいません、お姉さま」

幼児のように笑う少女。
姉は微笑み、少女—糸薗の頭をなでた。


「糸薗!!」

糸薗は振り返り、ぎょっとなった。
後ろにいたのは、教育係の母だったのだ。


「お、おか…おカアサマ」
「声が裏返ってる。…貴女、勉強はどうしたの?」
「あ、イエ、そ、レハ…」


かくかくしかじかな糸薗を見て、母はため息をついた。

「おいでなさい、糸薗。父上がお呼びです」
「ぎぇっ…!?おおお、お父上が!?」
「そうです。さ、おいでなさい。また怒られても知りませんよ?」
「あ、行きます!お姉さま、少々お待ち下さい!!!」


物凄いスピードで糸薗は父がいる接間へと向かった。



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「し、失礼いたします……」

おどおどしながら糸薗は接間に入った。
そこには、仏頂面の父が正座をして待っていた。


(ひ…ひぃぃぃぃっっ!!!怒ってる!?)

別に父は全く怒っていないのだが、仏頂面の為そう見えるらしい。
糸薗はそそくさと室内に入ると、正座をした。


「——————糸薗」
「は、はい……」


「あの事件を……覚えているか?」


一瞬、糸薗は頭の中が真っ白になって行くのが分かった。
続いて蘇る、忘れたくても忘れられたくない記憶。
助けられなかった祖母。血まみれの腹。笑って去って行った男。
何かがこみ上げてくるのがわかった。


「う…ぐ…おぇ………っ……!!が……うぇぇぇぇっ……!!!」
「!!糸薗!!!」



突然嘔吐しだした糸薗の背中を、父は優しくさすった。
荒い息をあげながら、糸薗は父を見る。


「れが………それが…どうか、なさいましたか……?」
「……その、犯人を、捜してくれないか?修行ついでに」


一瞬、糸薗は何を言われたのかわからなかった。
そして、ゆっくりと瞬きする。

「怨念を……悲しみを、はらしてくるんだ」


そう言う父の顔は苦しそうだった。
糸薗は瞑目して、ゆっくりと頷いた。
口元を拭うと、立ち上がる。


「父上……。我、泉 糸薗。能力を活かし、犯人を見つけてきます……。その記憶も、何もかもを、はらすために」


父は、ゆっくりと頷いた。

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こんばんは、あずさです。
寒い日々が続きますね〜!!
次回からは七花達が登場してきますbb


糸薗「いつになるかもわからないのによく言うよ…」


…それではお楽しみに^^*