二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re:原子の擬人化第一話 「会議のはじまりは争いの後」 ( No.7 )
- 日時: 2010/11/20 14:53
- 名前: 嘉佳緒 (ID: qrnJbgt/)
わたしたちを取り囲む世界は、物質によって満たされています。
それらの物質は、総て原子から構成されているのです。
物質がさまざまに変化しても、物質から構成されている原子は地球から消えてなくなることはありません。
貴方の周りで、どんな原子を見つけえることが出来るでしょうか。
「皆いいですか?僕たち原子は人間様の役に立っています。そのことを第一に、人間様のために色んなことをやる、その計画を立てましょう」
原子世界で会議が行われていた。
どうやら人間に感謝を表すならどうすればいいかが題目らしい。
水素が丁寧に話を切り出すが皆聞き耳を立てようともしない。
それどころかリンはテーブルに足を預けている。
「リン!その行儀の悪い体勢はなんですか!背筋を伸ばして座ってください!」
「あ?あたしのすることに何か文句でも?ていうかさー、水素兄ちゃんは本当にその『人間様』の役に立とうと考えてるわけ?止めた方がいいぜー?ろくなことになりゃあしないって」
「何を言いますか、リン。僕たちの存在を定義付けたのは人間様である、ドルトン様(19世紀の初めごろ、物質はそれ以上分割することの出来ない小さな粒から出来ていると考え、それを原子ととよびその性質を説明した人)とアボカドロ様(水素や酸素などの気体の物質では、原子は単独で存在しているのではなく、いくつかの原子が結びついた粒が単位になっていると考え、このような粒を分子とよんだ人)ですよ?その人間様の役に立とうと考えて何が悪いのですか。貴女もその中のお一人なのですからちゃんと人間様のお役に立てるよう考えてください」
つらつらと語る水素になにかを言うのは難しい。
総てが正論なのだから。
それでもリンは平然と言った。
「だから?あたしたちを定義付けたのがその人間マサであろうとも、今の人間マサは何をやらかしている?人を信じることはしず、疑うことばかりはイッチョ前で…あたしは願い下げだな」
「…あ、あのあの……リンのいう事は正しい…と思います…。でも…兄様のほうが尤もだと…私は思います…」
「亜鉛ちゃんの言うとおり。ボクらは喧嘩をしにきたわけじゃないんだから、ここは水素の提案にのってみたら?リン」
おずおずと言う亜鉛に助け舟を出したのは白金だった。その言い方は反論を許すまじで、リンはぐっと黙り込んだ。
「……。それでは、今から会議をはじめます。題目はさっきも言ったように、『人間様に感謝を示すならどうすればいいか』です。皆の意見をお聞きします」
鳥が囀る朝。
原子たちによる会議が行われた。