二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第二話 二番目アリス ( No.5 )
日時: 2010/11/20 17:18
名前: 葡萄飴 (ID: acQ6X1OT)

メイコの叫び声は全く森の中には響いていなかった。
だってそこで歌を歌っていた一人の少年、カイトは全く気づかなかったから。

「ahーーー ahーーー」
『綺麗な歌声ですね。』
「? 誰ですか?」
『通りすがりの《夢ウサギ》です。』
「だからウサギの格好をしているのか。」

ちょっと不自然だったけれど、カイトはそこまで気にしなかった。
“夢”はいつのまにか自分のことを《夢のウサギ》と呼ぶようになっていた。

「それでは、《夢ウサギ》さんも歌をご一緒に。」
『遠慮しておきます。仕事があるので。』
「そうですか……」
『封筒を預かっております。これをどうぞ。』
「ご苦労様。」
『これも仕事なんで。』

“夢”はまたその場から立ち去った。
カイトは封筒の中身を出した。

「ダイヤのトランプと、楽譜? 誰からかな…」

封筒を見たけれど、誰から送られてきたのかは分からなかった。
フッとカイトの右手に青いダイヤの《二番目アリスの印》がついた。

「美しい声を出したいな…… そう、みんなに愛でられながら……」

真っ赤な目をしてカイトは街に行った。