二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

【参話】  合成獣 ( No.10 )
日時: 2010/11/27 23:52
名前: 無幻 (ID: 8hgpVngW)

いや、テレパシーの便利さといったら最高ですな。
後部座席で女を横目で見つつ、思う。


「えーっとね?…獣王自身もそう呼ばれるの嫌なんだって。だからやめてあげよう」


ていうか私も呼んじゃったじゃない、どうしてくれんの。


「君は獣王の何なのかね」
「何なんだろうねぇ………僕[シモベ]?」


僕て、僕て!!ありえないっ!!とか思いつつ取り敢えず口にしてみちゃったり。
大佐さんは…あ、そういや名前知らないや。


「大佐さんはお名前なんて言うの?序でに中尉さんの方もお名前宜しく」
「私はロイ・マスタングだ」
「リザ・ホークアイです」


そう、と薄れる興味をじれったく思いながら呟く。
つーか、僕って言う所に興味持ちなよ、んで何か言えよ、と心の中で睨みつけながらも俯く。


「ねぇ………合成獣って、知ってるかなー」
「?…知っているが」
「彼女、合成獣創造主だよ。合成獣っていうのは、あんた等が言う獣王が創りあげたもの」
「「!」」


彼女が創り上げた合成獣の初期プログラム最後の生き残りが私、ユナ・ドールスタ。彼女もまさか私が彼女に——創造主に逆らって旅に出たりするなんて思ってもみなかったみたいだけど。
まあイコール僕でも強ち間違っちゃいない、ような気がするのは私だけでしょうか。元より主従関係の線は濃くなってはいないから僕でも主でも関係は無い訳でその気になれば私が彼女を殺す事だって出来る。…やんないけどさ。


「名前は、何て言う」
「何だったっけ、あー…確かね、ダラード…?」
「ダラード…」
「大佐、ダラード・リクセンドュルクなのでは…」


ダラード・リクセンドュルク!そうそう、それそれ多分その人だー!!……それでも一応「多分」なのです。


「きっとその人だ。つー事で私は彼らと共に調べ物をしたいんだが放してくれるか?」
「その件は此方が引き受けよう。それに、まだ聞きたい事が山ほどあるんだ」
「えー!?死ねよ、一回死んでこい!」


“ユナ、聞こえるかしら、創造獣-10682”


私は車の中で思いっきり地団駄を踏む。マスタングとホークアイが私の方向を見て目を丸くする。


「その名前で呼ぶんじゃないッ!!」


私は傍にあった鉛筆二本(何であるの)を耳に刺す。それを見たマスタングが車を止めた。


「ちょっと貴女…っ!」
「おいっ!!どうした…っ」


“くすくす、ごめんなさいね。ところで………”
































“どうして貴女、軍の狗と一緒に居るのかしら?”


「…お前………ッ、何故それを…ッ!!」


心で話しても通じるのに、どうしても声が表に出てしまう。私は車のドアを蹴り飛ばしてこじ開け、辺りをキョロキョロ見渡す。


“うふふ、上よ、う・え♪”


「が…はッ」


黒い閃光が私の横腹を貫通する。赤黒い鮮血が胃液と混じって私の口から外へ出る。
意識が途切れる前、私の傍によるマスタングとホークアイの向こうから———









































































ビルの上から見下す、創造主[ダラード]の歪んだ笑顔が見えた。