二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 降り続けるは、桜雨 ( No.140 )
日時: 2011/03/06 19:12
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: uXqk6hqo)
参照: オリキャラ募集or夢リク受付してみたい。




 天気予報は、嘘吐きだ。からっと晴れた青空を見て、薄く苦笑する。今日は大雨だと、テレビのなかの天気予報者が傘マークを指差し、言っていた。その予報を信じて、今日の花見を延期したというのに。
 快晴になってしまったが、いまさら連絡しても支度などで遅くってしまうだろう。そうすればもう、花見どころではなくなってしまう。せっかくだから、一人で散歩でもするか。心なしか寂しい気もしたが、外に出て春風に触れたとき、そんな気持ちは吹き飛んでしまった。

「……もう、春なのか」

 ぽつりと自分で呟いて、ふと気付く。そう言えば、いつだっただろうか。桜の開花予想日が発表されていた気がする。自分の記憶が正しければ、今日は桜が七分咲きとなる、最高の日和だったはず。どうせ行く宛ても無いのだ。川沿いの桜でも見に行こう。そう思い、ゆっくりと歩き始める。が、身体は気付くと立ち止まっていた。どうしたんだ、自分。また歩みを始めようとしても、その分、反抗的に動かなくなる身体。なぜ、理由もなく歩けなくなるのか。たかだか花見だ。そう、一人で桜を……———桜、か。
 人間には、とある現象が起こる。その数は、星の数ほどあるのだろう。全部覚えているわけではないが、その中の一つは……『アンビバレンス』だ。アンビバレンスとは、ある同一の対象に対して真逆の感情を抱く事を言う。愛と憎しみ、喜びと悲しみ、拒絶と欲求。この感情たちを一度に抱くと、新たな感情が生まれるのだろうか。
 俺は桜に対して、二つのイメージを持っている。『出会い』、そして『別れ』。桜を見ると美しいと感じ、その後、対照的な二つの感情を抱くのだ。だからなのかもしれない。

「……もう、別れなくてはいけないんだな」

 桜の咲き乱れるあの春に、あいつに出会った。夏も秋も冬も幾度の季節の乗り越えて、あいつの色々な面を知った。そして、わかり合えた。時間は掛かり過ぎてしまったけれど、それでも俺は良かったんだ。とても、楽しかったから。
 もう少し、もう少し経ったら……———桜が咲き乱れる季節が終わったら、もうあいつとも逢えないんだな。そう思うと、一瞬だけ脳裏に浮かんだ桜吹雪が、どうしても涙雨に見えてくるのだった。


     (  出会いと別れ  )

 *。+
春はこーゆうシーズンですよね!
桜のシーズンは、まだまだこれからですが、気にしないで下さいなw