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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 題名未定 ( No.146 )
- 日時: 2011/03/09 19:53
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: uXqk6hqo)
- 参照: 書いてる途中で意味不明になったけど気にしない(
◇
見ているだけで痛々しい紫色が、異常に暗い部屋を映し出す。初めて見たときは、ずっと眺めていることさえできなくて。すぐに目を伏せていた。顔を背けたりなんかしたら、あのお方の期待を踏みにじってしまうのではないかと、頭の片隅にそんな不安があったのだろう。そんなことが考えられる余裕が、あの頃にはあったのか。でも、今ではもう、これが当たり前と化してしまい、昔の極普通だった平凡だったあの毎日など、闇に葬られてしまった。そう、俺の本当の名と共に。
◆
つい先程まで、世界は冷たい雨に包まれていた。だからなのだろうか。いつも見ているはずの星空が、しっとりと濡れたように輝いて見えるのは。月が、にやっと笑ったアイツの口元の如く、くにゃりと曲がっている。黄金の光を放つ、三日月だった。———いや、照らされているのだ。太陽という、偉大で立派な存在に。ふと、思う。この世界へ復讐するために、人々を傷つけるあのお方が"私たちの総て"だと言うのなら、私たちが泣かせた数多くの人々は何なのだろう、と。
◇
父さんは、俺をいつも可愛がってくれた。理由は簡単。実の息子にそっくりだから。俺はずっと、"吉良ヒロト"という存在と重ねられないと愛されないんだなーってわかっていても、きっと父さんは、"基山ヒロト"を見てくれていると、信じていた。願わずには、いられなかった。弱い弱い弱い、この言葉がぐるぐると脳内を占領し、麻痺してしまったかのように動けなくなる。じんわりとぼやけてくる視界。ジェネシスを"ガイア"の座へ引き上げた、最強になった、たくさんの仲間の憎悪の視線に耐えながら。ねえ、父さん。次は、どうすれば喜んでくれる?
( 迷子少年 / 慈雨世界 / 偽造陶酔 )
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