二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 さよなら、 ( No.159 )
日時: 2011/03/25 20:45
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: aBT3sVDq)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=xEiqkmW0HQI




 ———天気予報も嘘を吐いた。

 私がいつも見ているニュース番組は、よく当たる天気予報が売りなのに。雨宿りさせてもらおうと駆け込んだ本屋さんの出入り口。ガラスとにらめっこをしながら、ハンカチで濡れた髪や体を拭く。大粒の水滴は、容赦なく私の体を冷やしていった。ほんと、雨って大嫌い。
 駅まであと少しだったのに。忌々しいことを思い出させてくれちゃう折り畳み傘。吹っ切る勇気が無い私は、鞄から取り出すこともできなくて。ぼんやりと、駅の方向を見つめていた。
 静かに濡れていく世界。その中でよく目立つ赤い傘。折り畳み傘なのかな。私と似てる、なんて。ちっちゃく笑いかけて、息をのむ。そして———溜め息を零した。

「……レン、くん」

 二人でよく通った、駅までの道のり。そこから電車に乗って、色々な場所に行って、たくさんの思い出を作ったね。

 呼び止めたい。また、あの時みたいに優しく名前を呼んで欲しい。好きって、言いたい。
 バカだな、私。レンくんにはもう、「好きだよ」なんて伝えられないのに。もう二度と、言えないし言ってもらえないのに。なのにどうして、目できみを追ってしまうのかな? あーもーほんとに、私ってバカ。レンくんはもう、あの子の傘の中なのに。想いは、届かないのに。息が詰まりそうだよ、苦しいよ。もう、死んでしまいそう。きみがまだ、大好きだから。

 そう、だから。
 私は、きみに笑っていて欲しい。その笑顔が私に向けられないとしても、私は彼を忘れないから。忘れられない、から。ミクちゃんにしか向けられないんだよね。もう恋なんてできないけど、せめてきみを大切にしたいの。
 今でもこんなに好きだから、私はもう、振り返らないよ。想いはちゃんと、胸に抱きしめるから。


 ———バイバイ、恋心。さよなら、レンくん。


 想いを断ち切ろうとして切りすぎちゃった前髪を指で弄りながら、私は呟いた。頬に大粒の雫を、零しながら。


 *。+
失恋メルトをリンちゃんが歌ったver.です。切ないよおおお!
URL、貼っておきますね!