二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 さよならラヴソング ( No.184 )
日時: 2011/05/01 20:57
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: 0y/6MWPS)




「なあ、アンタ、」

 彼女の視線はいつもと違い、どこか焦点が合っていなかった。私を見ていることに違いないのに、目の先はふわふわと、辺りを漂っていて。きっとそれほど困惑しているのだろうけど、それは私には関係の無いことで、同時に知らないことだから。私が彼をどう想っていようと、彼女に害は無い。むしろ、ちょうど良いんじゃないかな? 彼女は彼が好きで、でも私は、あの人が好きで。お互い、恋に一生懸命な女の子だもん。分かり合えるはず。
 なのに、どうして。私に憎悪をむき出しにしているのかな? 酷く哀しそうな声で私に、認めざるを得ない現実を拒否してしまう自分の弱さを伝えようとするのかな? 同じキャラバンに乗っていると言えど、私は彼女を理解しているわけではない。冷たい言い方になっちゃうけど、結局は赤の他人だもん。わからないよ。

「どうし、て、ダーリン、のこと」

 徐々に大きくなっていく声。虚ろな瞳は、再度見てみるとしっかりと私を映していた。ただ、弱々しい声色は寸分足りとも変わっていないけど。
 ダーリン。ああ、彼のことか。私の幼馴染で、大切な人。でも、好きな人はあの人で。彼が誰を愛し続けたいと恋焦がれているのかは知らない。けど、大切な人の恋だもん。応援してあげたい。
 でも。だからどうしたのよ、浦部さん。彼がどうしたの? そんな不安そうな瞳で訴えかけられたら、私だって心配になるよ。

「ちゃんと、振ってあげないん?」
「……え」

 誰がいつ、私に告白なんか。

「ダーリンはずっと待ってるのに、なんでアンタは、そうやっていつまでも、ダーリンの優しさに甘えるん? そんなの、可哀そすぎるやん!」

 何を狂ったように叫んでいるの? 何の話をしているの? 私が知らない話、だよね?
 でも今、私が言えることは一つ。いつか伝えようと思ってたから、丁度良い、よね。

「……言いたい事は、それだけかな?」

 乱れた呼吸が、ピタッと止まる。同時にこの空間の時間さえ止まってしまったのではないかと、そんな錯覚さえ覚えた。明らかに動揺している彼女。ぽかんと、いつも彼へ愛の言葉を紡ぎだす口が、開いたまま閉じようとしなかった。

「大事な事だから伝えておくけど」

 一度、言葉を切り息を吸うと、しっかりと彼女の瞳を捕らえた。

「一之瀬くんの優しさに甘えてるのは、他でも無い貴女じゃない」

 私はとびきり優しい笑顔で、強張っている彼女の口元を緩ませようとした。私の意見は、正しいよね? だって、そんな。私が一番、彼に近かったんだから。そうよ、じゃないと私。


 ———私の初恋は彼だったって、胸を張って言えなくなっちゃう。


 そう、だよね。


*+*
ドロドロな女の子を書こうと足掻いた結果。訳わかんなくなりましたw私の好きな秋ちゃんは何処にw