二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 The flame went out 【木戸川/捏造】 ( No.211 )
日時: 2011/06/03 17:14
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: COldU63y)
参照: 暑いorz



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「炎ってさ、」
 ぽつり。
 雨の最初の一滴のように突然、そして静かに零れた言葉。その響きは、ゆっくりと心に沁みていく。乾き荒れた大地を潤わせるための慈雨の、一番最初のしずく。まるで独り言のような——到底、人に話しかけているのだと気付けないほど淡々と、紡がれていく言葉。揺れる波紋のように、その言葉は少年の中へと溶け込んでいった。
「いつも、前にいるんだよ。背中しか見えないの。だからね、笑ってるのか、怒ってるのか、泣いているのかわからないんだ。もしかしたら、何も考えられないくらい落ち込んでるかもしれないのに」
 ぼんやりとした瞳のまま、少女はぽつぽつと言葉の雨を降らせる。休むことなく振り続けるそれは、ただ黙って受け入れる少年を感傷に浸した。吹き抜けるそよ風が心地よい。空もまた、青くそして澄んでいた。自分と対するまでに綺麗な空を見ると、酷く惨めな気分になる。それはきっと、少女の口から零れた言葉も原因に含まれているのだろう——、そう少年は心中で呟いた。
「……だから、手を伸ばして慰めてあげたくなるんだ」
「同情、か?」
「違うよ。だから黙って聴いてて」
 若干、睨みつけるようにして言葉を遮ってから少女は溜め息を吐き出した。おまけに欠伸も一つ。目尻に薄く、涙が滲む。ジャージの袖口でごしごしと目を擦ると、少女はまた口を開いた。乱暴に扱ったせいで目元が赤みを帯びている。がさつ、そんな言葉がよく似合う。
「でも、どんなに近づいても——その核心に触れることは、できない」
 じぃっと少年を覗き込む少女の瞳は『何故だと思う?』と尋ねているようにも見えた。少し困ったように顔を歪ませてから、少年は唇を噛み締める。ぎゅっと日に焼けた拳が握られた。そんな少年の様子を見て、少女の表情も心なしか曇る。居心地の悪い、切り取られた空間。そこに二人きり、ただ黙っているだけ。時の流れさえも感じぬ冷えた世界に痺れを切らしたのか、少年はただまっすぐ、
「……人を、寄せ付けようとしないからだ」
 少女が聴きたくなかった言葉を、彼は吐き捨てた。はっきりと言い切られた肯定の言葉。まるで自分の事を語っているような、そんな自然さだった。無論、酷く沈み込んだその瞳を除けば、の話だが。少女の肩が、がくんと落ちる。
 そんな少女の様子を見て俯きかけた少年に彼女は、ざっんねーんとつまらなそうな無表情で告げる。少年の眉間がぴくりと、小さな動きを見せた。黒い瞳が、少女を捕らえる。
「せーかいは、"熱くて触れないから"でした」
「……」
「前者が正解だとしたら、今、きみは学校の屋上で一人きりでしょ?」
 そう、だな。
 自嘲気味に薄く笑みを浮かべ、黒い瞳を伏せた少年。ようやっと、小刻みに震えていた拳が、ふわりと宙を泳いだ。何かつかまるものを探しているかのように、小麦色に焼けた健康的な肌がふらふらと空を彷徨う。その手の中に、彼が求めるものは無い。
「人は、いつまでも英雄ではいられないんだ」
「そんなこと、誰も求めてないよ。きみだって一般人なんだから」
「俺にはもう、何も残っていない」
「……じゃあとっくに、全てを捨てきってるはずだ!」
 スパイクもボールも賞状もアルバムも思い出、も。本当に全て失くしたのなら、自分から全てを拒絶するはずだ。世界から自分の存在意義を訊かれ、壊されるその前に、自分を空気と同化させるよう励むはずだ。人間にはその程度のことしかできないと、僕は知っているのだから。
 機関銃のように飛び出してくる言葉の列に、少年は面を食らったかのように後ろへ退く。でもまだ、瞳は深いところに沈んだままだった。開放してあげたい、そんな想いも届いているかは定かではなくて。しゅんと塞ぎこんだ少年は、弱々しい笑みを浮かべた。
「……ごめん、な」
 どうしてきみが謝るんだよ。
 どうしてきみがモノクロのボールを諦めなきゃなんだよ。
 どうしてこうも、きみばかり何かを失うんだよ。
 駄々っ子のように反抗する言葉しか少女の頭には浮かばない。でも、この言葉まで勢いに載せて突き刺してしまったら。そう思うと少女には、飲み込むという苦々しい選択肢しか残らないのだった。弱い自分に募る、嫌悪感。
「ご、めん」
 無意識に零れ落ちた言葉に動揺を隠しきれていなかったのは、少年ではなく少女のほうだった。
( 願わくば、 )
 自分は恵まれすぎている。家族にも、人生にも、夢をかなえるための環境も。だから、だから、
( 僕のありったけの幸せを )
 彼と、その最愛の人へ、届けて欲しい。




豪炎寺と葵さん。ただいまキャラソン組×葵という俺得企画進行中。なぜキャラソン組?とか聴かないで。思いつきだから説明できないの><←
個人的に豪炎寺は、木戸川時代が好きです。え?萌えポイントがおかしいって?だって一番落ち込んでるんだよ、それが良いに決まってるじゃないか( しかも赤と黒のユニホームかっこいいし。←

とりあえず、萌えポイントまとめ(ぇ
 ・豪炎寺…木戸川時代
 ・鬼道さん…帝国の、ちょっと総帥に疑問を持ち始めたくらい(つまり捏造
 ・吹雪…もっちろんマフラー時代!←
 ・風丸…もっちろん黒歴史!←←← でも一期も似合う。
 ・円堂…教祖様に時期なんか関係ねぇ!(こら

こんな感じになりましたー……色々と危ないですね、はい。
ちなみに近況報告。ただいま吹雪夢長編連載のほうの続編について考案中。世界編は後回しにして(ぇ オリジナルのほうも一応、考えています、一応。タイトルが思いつかないよ影山ェ……(え?
近々どっちかでネタばれしたいですw