二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【イナズマ】漆黒アワーグラス【ちまちま集】 ( No.39 )
日時: 2010/12/22 18:50
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: MXL14IX2)


 ホイッスルが校庭に響く。夜桜の生徒達も静まり返った。嗚呼、こーゆう空気ってすっごい苦手だな。もしかして、僕って、とてつもなく注目されてるよね。気のせいかもしれないけど、僕に向けられた視線が痛い。恥ずかしいとかを通り越して、痛い。
 こーゆう状況の時って、あのお嬢は有利だよね。

「カレン、照れないの?」
「女性は視線を浴びて美しくなるんですのよ?これだから困りますわね、一般人は」

 妙に強調された"一般人"の部分。財閥のお嬢様は、高飛車だから困る。ゴメンね、間違えてボール当てたりしたら。
 …最近になって自動販売機を知ったカレンに言っても、無駄なんだけどね。

「もう幼稚園児には、任せておけへんな…ほな、ウチがやったるで!!」

 水色のセミロングの女の子が上がってくる。肌が黒い。俗に言う"ガングロギャル"なのだろうか。しかも関西弁だし。…珍しいなぁ。でもこの声、どっかで聞いた事があるよーな…あ、一之瀬を抜いた時だ。確か…浦部リカ、さんだったな。
 それにしても幼稚園児って…あ、豪炎寺か。可哀想に。

「行かせませんっ」

 いつの間にか下がって来ていたなつめが、リカさんのボールを奪った。その時の悔しそうな顔といったら…ある意味、恐ろしい。
 が、次の瞬間になつめは、ボールを奪われていた。

「ザ・タワー!!」

 青い帽子に紅い髪の毛。しっかしこのチームは、女子選手が多いな。…僕たちのほうが多いのか。財前塔子さんだっけ。総理大臣の娘さん。可愛い女の子なのに、宇宙人を倒したんだよね。カッコいいな、憧れちゃう。浦部さんは…あの性格なら当然かも。

「リカ、準備は良いっ?」
「バッチリやで!!」

 こちらへ向かってくる二人。確か、この二人にも必殺技があったな。しかも、このタイミングだとあまり喜ばしく無いシュート技だ。
 女の子とはいえ、合体技は強力だよね…嫌だな。

「!?お、おい…藤浪!?」
「僕が止める。森本は、安心していいよ」

 半分だけ振り向くと笑ってみせた。僕の方が体力は残ってるんだから。守備にも攻撃にもハッスルしないとね。恐怖を覚えながらも、ゴールの前に立ちはだかる。

「バタフライドリーム!!」

 美しい蝶がボールを連れて迫って来る。おお、凄い威力だな。でも、負けちゃいけない。もし何かあったら、僕の体ごと森本が受け止めてくれるだろう。僕は、そう信じてるよ。
 右足に掛かる力。立っていられるのが不思議な位、凄い威力。やっぱり、無理があったよねぇ…。だとしても、諦めたらいけないんだ。それに、ここまでして逃げたら監督に怒られる。嗚呼、怖い怖い。

「…っりゃぁぁぁっ!!」

 あ、何だか今の声、男みたいだったな。でも、ボールは何とか止めた。結構、ぎりぎりセーフ。どんな形であれ、止めた事実は変わらない。
 急いでMF達にボールを回した。後は、頼んだよ〜。

「ここでパス!?無責任じゃないですか!?」

 そう言いながらも、雷門と夜桜の激しい攻防が繰り広げられる。見ていて楽しくて仕方が無い。自分がプレイヤーである事を忘れて。

「残り時間、少ないんだから…お前も参加して来いよ」
「守っといてあげるから、GKも行ってくれば?円堂は、たまにやるみたいだよ」
「…遠慮しときます」

 試合終了時刻は…刻々と迫る。