二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【イナズマ】きらきら流れ星【ちまちま集】 ( No.45 )
- 日時: 2010/12/26 17:30
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: eMRX3Yay)
『さぁ、残り時間も僅かとなってきました!同点のまま、試合は終わってしまうのか!?さて、"日本一"の意地を見せ付ける事が出来るのか雷門イレブン!!』
どことなく実況にも熱が入る。そりゃそーだよね。これで無名の夜桜に負けたら、雷門の生徒からの批判でサッカー部の人気が…落ちないな。だって、"サッカー部"ってだけでカッコいいってならない?雰囲気みたいなのが。野球部が坊主前提なのを考えると、髪形が自由なサッカー部は良いほうなんだ。
「試合見学、まだやるのかよ…勝ちたいって言ったの、お前だろ」
「う〜ん…そうだよ、僕だよ。でもさ、見てて楽しいじゃん。だからまだ見てる」
「カレンに怒られるぞ。『貴女、それでも私のキャプテンですの!?』って」
何気にカレンの物真似が上手な森本。確かに怖くなって、ちょっと前の方に出てみた。あんまり変わらないけど。ボールは、雷門ゴール前で取り合いになっていた。嗚呼…僕の仕事じゃないな。
「藤浪、もっとオフェンス陣を援助しろっ!!」
「無理です監督!!僕、ディフェンス担当ですから!!」
「前半の分まで働けっ!!」
これは、仕事なのですか。とも思ったけど、無駄に怒られても嫌だから、よーく観察してみる事にした。余計な体力を消耗したくない。でも、よくよく考えてみると…消耗するのが仕事だったりする。
僕が試合させて欲しいって言ったのに見てるだけって、卑怯なのかな?仕方が無いよね。僕、自由奔放な人間だから。うん。
「…よし、僕も頑張ってみよう」
*。+
「だあぁぁぁ…疲れたっ」
雷門イレブンも夜桜イレブンも、試合終了を知らせる長い笛の音を聞き、その場に座り込んだ。今日は、そこまで暑くなかったとは言え、選手達の額には汗が光っている。
校庭は、多くの観客からの拍手に包まれた。雷門イレブンには、試合を受け入れてくれた感謝の気持ちを贈る為。夜桜イレブンには、日本一に戦いを挑み精一杯、自分の実力を出し切るプレーをした選手の疲れを労う為。
『試合終了!!結果は…一対一で、引き分けです!!』
そんなの、得点板見れば誰だって解るよ。僕たち夜桜イレブンに勝利の女神は、微笑まなかった。けど、日本一の学校に引き分けって、無名…って程じゃないけど、あまり名前を知られていない僕たちにとっては、勝利に値する結果だと思う。しかも僕、前半の時、いなかったしね。まぁ、後半も…夜桜が果敢に攻めて僕の出番は、ほとんど無かったんだけど。
「葵っ!!」
僕の名前を呼びながら走ってくるのは…円堂か。また言うのかな?"お前ら、すげぇよ!!特にあのシュート…くぅっ!!次は、絶対に止めてやるぜ!!"のような熱血漢の台詞を。それとも、冷静にお礼を言われるのか…検討が全く付かない。
「お前ら、すげぇよ!!特にあのシュート…くぅっ!!次は、絶対に止めてやるぜ!!」
「え…あぁ、うん。ありがとう」
僕、円堂の考えてる事、解っちゃったみたいだ。まさか、気が合うの?いや、違うな。円堂が恐ろしく解りやすいヤツなんだな。あまりにも面白い事言うから、思わず返事が質素な物になってしまった。
「さすがは、日本一だね。技術面や作戦を組み立てる時間の早さ…どれをとってもトップクラスだ。僕にも皆にも、良い勉強になったと思うよ。本当にありがとう」
後で復習したいなーなんて考えて、はっと思い出す。新聞部に試合撮影を頼んでおけば良かった…ビデオぐらい、撮れるよね。
「謙遜しすぎじゃ無いのか?」
水色ポニーテールさんがやって来た。コイツの名前は覚えたよ。風丸だよね。結構、個性的と言うか…他にはいない髪型だから、覚えやすかったな。
「謙遜…か」
「あのGKは豪炎寺のシュートを止めているし、FWは円堂を破って得点している。全体的にもパス回しが速いし…藤浪は、DFとして最高級の実力だ」
ぺらぺらと風丸の口から出てくるのは、僕たちに対する褒め言葉ばかり。照れるけど、こんなに観察力があるんだぁ、と感心する。…と思ったら風丸、その後に「まぁ、鬼道の受け入りだけどな」なんて。
「お前達ともう一回、試合がしてぇっ!!」
「え…ちょ、本気で言ってるの?」
「円堂…それは、またの機会にな」
今のやり取りからして風丸は、暴走する円堂のストッパー的ポジションなんだろう。色々な人に優しすぎるから、自分に抱く劣等感は大きくなっちゃうんだろうな。"ダークエンペラーズ"の時のように。昔の話だけど、そういう過去の持ち主なんだもん。気になるじゃん。
「皆ーっ!お昼にしますよーっ!」
「だから、水道を借りて手を洗ってきて下さい!」
可愛らしい女の子の声がする。多分、雷門のマネージャー達。でも、お昼ってどういう事だろう。まさか、早めの昼食の後に合同練習をやるとか…
「葵、弁当、持ってきた?」
「…何で持ってくるの?」
「え?少しだけ一緒に合同練習するから」
ビンゴだね〜…じゃあないんだよっ!!ヤバイヤバイヤバイ…すっかり忘れてたよ。
「弁当、忘れてた…」
刹那、哀れみの視線が僕に突き刺さったのは…きっと気が動転している、僕の気のせい。