二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: □DreamNobel■ オリキャラ募集! ( No.49 )
日時: 2010/12/12 21:30
名前: 志筑 ◆aIk.35GwhE (ID: JryR3G2V)

■D.gray-man・アリスさんリク品
 [sugary is modest]

甘い甘いチョコレート。バレンタインに渡すチョコ。
だけど彼は極限的に嫌いだったのだ。

……甘い物が。

*

「バレンタイン??そんなくだらない行事に興味はねぇな」
「……言うと思ったけどさーっ」

神田の答えに、九条アリスは溜め息を吐いた。
予想はしていた返答だけど、やはり面と向かって言い切られるのは悲しく思うものがある。

バレンタインを期待していればいた程に。

「それがどうしたんだ」
「えーっ、ユウにチョコを上げたいなって思ったの!!
 でもユウは甘いもの嫌いだもんねー……いっそ蕎麦チョコとかにしちゃう??」
「ああ、嫌いだな。て言うか蕎麦チョコって絶対マズいだろ」

甘いものが好きならば、こういった行事も好きでいてくれたのだろうか。
そんな事を想像するが、そうすれば今の神田の性格も変わってしまうのだろう。

「(……ユウがユウじゃなかったら嫌だな)

結局、そんな考えに行きついた。

「じゃあさ、甘くない……甘さ控えめのチョコだったら貰ってくれる??」
「……まぁ、俺が食える甘さだったらな」
「本当?! じゃぁ、楽しみにしててねッ!!」

神田の言葉は、無理だと言わんばかりに溜め息交じりだった。
けれど、アリスにはそんな事は全然関係なかった。
声を上げると同時に駆け出し、神田に手を振り姿を消した。

「……騒がしい奴」


そんなアリス子を見つめ、神田は苦笑を浮かべたのだった。

*

「うーん、甘さ控えめのチョコかぁ。どうしようかなーやっぱりビターチョコかなー」

街中にある店のバレンタインコーナーで、アリスは首を傾げて独り言を呟く。

「なるべく苦めの買わないと……」

そう言いつつ、アリスの視線はあちらこちらへと流れていく。
ビターチョコに視線を留めながら、うーんと唸った。

「(どれも美味しそうなんだなぁ……ユウはどれが好きかなぁ……難しい)」

神田を想いながら視線を馳せる。
なるべく好きそうなチョコを選び、神田を喜ばせたいアリスはチョコ選びに必死だった。
すると。

「おやー?? アリス!! どしたの??」

「あ」

掛けられた声に視線を上げた。

—————……クラウスだ。
最近教団にやって来た新入りエクソシストである。
水色のサイドテール、長い黒のコート、白いシャツに黒いブーツ。性格、生意気。

……備考、神田が、大嫌い。

「クラウスもお買い物?? 私は甘さ控えめのチョコで、どれがいいかなと思って悩んでたんだけど」
「だったらコレが良いんじゃないかな……あ、分かった。神田にやるから控えめの選ぶんだ」

そう言って手渡された包装紙と同じチョコをディスプレイから見つけ出し、二つのチョコを見比べた。
どちらが神田の好みかどうか、それが問題だったから。

「クラウスありがと!! この2つのどっちかで考えてみるねー!!」
「アハハ、良いよ良いよ。その代わり僕にもチョコちょーだいね」

アリスの言葉にクラウスは笑顔を浮かべ、手を振ると背中を向けた。
そしてアリスはまた、チョコを見比べ選び始めた。

「(どうしよう本当にどうしよう……ええと……)」

二つのチョコを行き来する視線。内心慌てだすアリス。

「(———ど、どっちも美味しそうだよっ)」

ううう、と、どうしても唸ってしまう。アリスは直感で選ぶことにした。

「……コレ!!」

そう言い、アリスは黒と青のチェックの包装紙の箱を選んだ。

*

「ユーウーッ!!」
「……何だよ……気色悪ぃ声出して」

ニヘラニヘラと笑みを浮かべ、駆け寄ってくるアリスに神田は眉間のシワをより一層深くした。
その表情に、言葉にちょっとだけアリスはショックを受けた。


「ユウのバカ!! そんな風に言わなくてもいいじゃん!!
 ……折角ユウに良い物プレゼントしに来たのにー……」
「バレンタインのか??」

この間話したばかりだから、そうなるのは当然。
だからアリスはコクンと一つ、縦に首を動かすと。

「あ??」
「だから、プレゼント。受け取ってくれるでしょ??」

差し出した箱を見つめ、声を上げる神田にアリスは首を横に傾けた。
軽く、ほんの少しだけ。

「……手作り……じゃなさそうだな」
「え?? もしかしてユウ、私の手作りが良かった?!」

ボソッと呟かれた言葉は、運良くアリスの耳に入った。
そして、少しだけ期待する瞳を向けて問い掛けた。

「……」

ゴクン、と、息を呑む。

「期待はしちゃいなかったけどな……ま、お前のなら食べてみても良いかとは思ってはいた」

「うー……それならそうと、早く言ってくれれば私だって手作りしたのにぃ」
「……!! 馬鹿野郎!! んな事俺から言えるわけねェだろ!!」

真っ赤になりながら話す神田の言葉に、肩の力が抜けた。
本当なら手作りを渡したいとは思っていたのだから、少しガッカリした。

「でも、私の手作りだと……甘さ控えめにはならなかったかもしれないよ??」
「……ふん、お前のなら、無理でも食う」

アリス自身があまり苦いチョコは好きではなかった。
手作りとなれば味見だって必要だから、もしかすると神田にとっては苦くないチョコが出来たかもしれない。
それを気にしていたからこそ市販のものにしたのだが、余計な考えだったらしい。

「ユッ、ユウッ!! 来年は絶対手作りするからね!! 楽しみにしててね!!」

無理でも食べるという神田の言葉に、アリスは歓喜余った。
満面の笑みを浮かべ、そう宣言すると神田に抱き付いた。

「ハッピーバレンタインデーユウ!!」

神田は優しく、アリスの唇にキスを落とした。

———

12月ですよね。普通はココクリスマスですよね。
…なんてお考え止して下さいねoyz

そしてクラウス何気登場!笑
この機会に覚えていただけると嬉しいです。