二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

序章 ( No.1 )
日時: 2010/11/27 22:15
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

 とある時間になると義妹が、私の手を引っ張り寝室へと連れ込む。
 そして、いつも同じ言葉を言う。

「お姉ちゃん、絵本読んで!」

 私が義妹に絵本を読む、という行為はいつの間にか義妹の寝る前の行事になっていた。
「いいよ、何の絵本?」
「えっとね、これ!」
 そう言い、差し出してきた本を手に取る。

「悪ノ娘…?」

「うん!友達に借りたんだ!」
 私はその本をそっと傍にあった机の上に乗せた。
「読まないの?」
「ううん、読むよ?お姉ちゃんね、この本の内容全部覚えてるの。」
「そうなの?すご〜い!」
 そう言い、目をきらきらと輝かせる義妹。
 その姿を見て胸の奥が痛んだのは、どうしてか。
 そのことについて2つ考えが浮かんだが
「ねぇ、はやくはやく!」
という声にかき消された。

 今から私がする話を考えると、また胸の奥が痛んだ。
 大きく息を吸い込み、話す決心をする。

「じゃあ、話すよ。」

 まだあどけなさの残る少女は、懐かしむように目を細め、語り始める。



 ーコレハ、トアル王国ノ頂点ニ君臨シテイタ王女ト、其ノ召使ノ話。