二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第ニ章 ( No.13 )
日時: 2010/12/01 21:37
名前: 双海  (ID: BdM.OEZp)

「え…。」
 時が止まったような気がした。

 王女と、僕が双子?
 まさか、そんなはずは。

 だって僕は、代々続く召使の家で生まれ、育ったはずだ。
 確かに、僕と親の顔は少しも似ていなかった。
 似ていなかった、けれど僕は確かに愛を受けて育った。
 それに、僕が本当に血の繋がった家族なのか、不安になった時。親は確かに家族だと言った。
 その言葉を、この王は嘘だと言うのか?

「そんなの、…信じられません。」
「でも、本当だ。」
 王は、そうきっぱりと言い放つ。

 …わかってる、王が嘘を吐くはずがないということを。
 それに、王女と僕が双子なら、顔が似ているのも、納得できる。
 ということは、やはり王の言っていることは本当だというのか?

「…じゃあ、仮に王女と僕が双子だとします。」
「仮、などはない。それが真実だ。」
「……。」
 王の迷いのない、真っ直ぐな視線。
 この頃にはもう、王女と僕が双子だということを信じ始めていた。
「すまない、続けてくれ。」
「どうしてリン様は王女に、僕は召使になったのでしょうか。」
 どうして僕達の未来は、こう裂けてしまったのか。それが、一番の疑問であった。
「…生まれてくる子供は、一人だと、そう思っていた。男なら王に。女なら女王にするはずだった。」
「…だが、二人だった?」
「そうだ。国の頂点につく者は、二人もいらない。だから一番に生まれてきた子を王女とし、二番の子を召使とした。」