二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第ニ章 ( No.14 )
日時: 2010/12/01 22:28
名前: 双海  (ID: BdM.OEZp)

「…。」
 その言葉に、僕は怒りを覚えた。
「王女には、このことは」
「話していない。別に話す必要のない話だ。」
「じゃあどうして、僕にはこのことを話したのですか?」
「レン。リンが危なくなった時、お前が守るんだ。」
 それは、質問に対する答えではなかった。
 僕が意味がわからない、という顔をしていると王は
「いずれわかる時が嫌でもくるさ。」
と言った。

 ガタン、と大きく馬車が揺れ、自分が今緑ノ国へと向かっていることを思い出す。
 いつの間にか手を握り締めていたのか、手のひらには爪の痕が残っていた。

 それにしても、勝手な話だ。
 王女と僕が双子ということは、…わかった。
 だが、国の頂点につく者は二人もいらない、だなんて。そんなの知ったこっちゃない。
 それに、王は最後に
「このことは、誰にも言ってはいけない。」
と言ったのだ。
 もう、意味がわからない。
 一度にたくさんのことを聞きすぎて、頭が混乱している。

 はぁ、と溜め息をこぼすのと同時に、馬車が止まる。
 一体どうしたのかと思い、外を見回すとそこには、
「着きましたよ。」
緑、緑、緑。
 道行く全ての人達の髪が、緑であるのだ。
 へぇ、流石“緑”ノ国…。

「ここで待っていますので、用が終わり次第戻ってきてください。」
という御者の声を背に受け、僕は馬車を降り歩き出すのだった。