二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第ニ章 ( No.17 )
日時: 2010/12/03 17:53
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

 僕は椅子に座りなおし、
「そうですね。」
と言って微笑んだ。すると彼女も微笑んでくれる。

「ちょっと待ってて。お茶を淹れてくるわ。」
 そう言いリビングから出て行く彼女を目で追う。
 歩く度に揺れる彼女の二つに分けて結んだ美しい髪に、目を奪われる。
 町を歩いている時、いろいろな人を見たが、ここまで綺麗な髪の人はいなかった。

 ぱたん、と扉が閉まる。
 一瞬御者の顔が浮かんだが、少しくらいならいいだろう。そう思いその顔をかき消した。

 しばらくして彼女が帰ってくる。
 そしてふわ、と漂う紅茶の香り。
 コト、と音をたて紅茶を目の前の机に置き、向かいの椅子に彼女が座る。
 そして彼女は何かを思い出したかのように、あ、と声を出し
「そういえば、名前は?」
と言う。
 ああ、名前。
 そういえば、お互い名前を知らない。
「レン、といいます。」
「レン…。素敵な名前ね。私はミクよ。」
 「ミク」。彼女に似合う、いい名前だ。純粋にそう思った。

「あと、レン?」
「はい、なんでしょう?」
「私の前では敬語じゃなくていいわ。」
 彼女にそう言われ、気付く。その“敬語”は、僕の癖になっていることを。
 王女などと話す時は大体敬語な為、それが当たり前になってしまっていた。

「ですが…。」
 だが、彼女は明らかに年上。敬語を使わない訳にもいかない。