二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第ニ章 ( No.18 )
日時: 2010/12/04 22:18
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

「年上だろうから、敬語を使わないわけにもいかない?」
 僕の心を見透かしたかのようにくす、と笑い彼女はそう言う。
「…はい。」
「じゃあ、同い年って思ってくれればいいわよ!」
 …いや、どう見ても貴方はニ、三歳くらい年上です。
 心の中でそう突っ込みつつ、粘る彼女に僕はわかりました、と返事をするのだった。

「そういえばレンって、どこの国の人なの?」
 彼女は唐突にそう聞いてくる。さも不思議だという感じの表情で。
 …今更かい。もう話し始めて20分程度は経っているのに。
 どうもミクは天然っぽいなぁ、なんてことを考えつつ
「黄ノ国だよ。」
と返す。
 それにしても慣れないな、敬語じゃないのって。
「そうよね、金髪だものね。」
「でも金髪だからといって黄ノ国出身だ、ってことでもないよ。」
「へぇ、そうなの。あ、緑ノ国もみんな緑の髪ってわけじゃないのよ?」
 へぇ、そうなのか。
 さっき見た人達は皆、緑の髪だったから、皆そうなのかと。

「ねぇ、レンって召使さん?」
 またも唐突に、そう聞いてくる。
「そうだよ、よくわかったね。」
「んー、あんなに一気に食料買うのはそういう人だけかな、って思って。」
「ああね。」
「誰に仕えているの?」
「王女だよ。黄ノ国の、王女。」
「王女?!すご〜い!」
 そう言って、無邪気に笑う彼女を見て胸が高鳴る。
 ちょっと気恥ずかしくなり、目の前の紅茶に手を伸ばす。
 温くなったそれは、時間の経過を感じさせられる。

 彼女と話しているのは他愛のない話ばかりなのだが…嬉しい。
 さっきから、彼女と話せて嬉しいだとか、もっと知りたい、だとか考えている僕。
 それはどうしてか。そんなの、考えなくてもわかることだ。

 僕は、彼女が、…ミクが好きなんだ。